研究課題
本研究は、活動銀河核の環境と中心核への質量降着過程の解明を目的としている。活動銀河核の莫大なエネルギー源は、巨大ブラックホールへ落ち込む物質の重力エネルギーと考えられているが、降着物資の起源や物理状態や角運動量輸送機構は未解明の問題である。本研究では、電波・光赤外線・X線観測および理論シミュレーションを用いて、質量降着という複雑な過程を理解することがゴールである。平成23年度は準備研究、観測計画立案およびALMA望遠鏡への観測提案を行なった。準備研究では活動銀河NGC 1052中心核を取り巻く濃いプラズマの分布と高密度分子ガスが放射するメーザーの分布が一致することを明らかにし、観測候補天体とした。NGC 1052, Circinus銀河, Centausu A銀河, NGC 1068銀河の4天体について観測計画を立て、ALMA望遠鏡Cycle 0公募に応募した。不採択となったが、Centaurus AについてはCSV観測データを入手して解析することにする。上記の検討に加えて、以下に挙げる成果を得た。・高エネルギーγ線を放射する電波銀河3C 84を電波観測によって高解像度に撮像し、γ線放射ジェット成分を特定した(出版済み)。・低光度活動銀河核のミリ波帯スペクトルを計測し、スペクトル指数によって降着円盤の放射成分を分離した(出版済み)。・電波単一鏡分光観測のOFF点スペクトル平滑化による観測時間の効率化手法を考案した(投稿済み)。
3: やや遅れている
研究では、電波・光赤外線・X線観測および理論シミュレーションを用いて、質量降着という複雑な過程を理解することがゴールである。平成23年度の目標は観測を実施しデータ解析に着手することであったが、ALMA望遠鏡Cycle 0観測時間は不採択となったため、主要データの解析に着手できていないため、「やや遅れている」という達成度とした。Centaurus AについてはCSV観測データを入手して解析することにする。
非常に高い競争率の中、ALMA望遠鏡のCycle 0観測時間獲得は難しかったが、Cycle 1の公募観測に再度応募する。一方、CSV観測で取得済みのデータを用いて、本研究の解析を進める。さらに、VLBA, VERA, KVNなどの望遠鏡でも観測データを得て、解析を進める。並行して、GBT望遠鏡で観測済みのデータについても解析を進め、遅れている電波観測の研究を進める。
研究に必要な物品購入は平成23年度に前倒しで執行を進めたので、今年度以降は解析・研究打合せ・研究会での成果発表・論文出版費に研究費を費やす。・データ解析プログラムの開発および解析作業に謝金を支出する。・研究打合せおよび研究会発表のために旅費を支出する。・論文出版費を支出する。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
The Astrophysical Journal
巻: Vol. 746 ページ: 140
10.1088/0004-637X/746/2/140
The Astronomical Journal
巻: Vol.142 ページ: 167
10.1088/0004-6256/142/5/167