研究課題
星は塵に包まれながら、質量を増やしていき生まれる。しかし、その塵の厚さゆえ、誕生の現場は透過力の強いX線のみしか見る事ができない。この埋もれた原始星の基礎物理量(星の半径、角速度など)を測定するためには、X線から得られる諸パラメータと基礎物理量をつなぐユニバーサルな法則を得ることが必須である。我々は本年度は、太陽フレアに比べ桁違いに大規模な星のフレアを系統的にX線で観測し、星のフレアがどのように基礎物量と結びつくのかを研究した。また可視光、電波、赤外などで多波長観測を行った。さらに、まさに生まれようとしている原始星段階初期である Class 0原始星からX線から出ていることを突き止めた。これらの観測的研究と並行して、将来、原始星の幾何に迫るための偏光に感度を持つ光学系の開発を行った。(1)全天X線監視装置MAXI/GSCを用いて起こる頻度が少ない星の巨大フレアを探査し、i)巨大フレアの発生頻度が太陽フレアと同じ冪でエネルギーとともに落ちること、(ii)太陽フレアからMAXIで検出される巨大フレアまでの10桁もの範囲で黒点の面積がフレア規模と強く相関していること、(iii)HR1099の最大フレアエネルギー、を明らかにした。(2)II Peg のフレアを多波長同時観測し、長時間に渡るHα輝線の青方変移とX線帯域での再加熱から、太陽で起こるツーリボンフレアの超巨大版の証拠を得た。(3)Class 0 原始星と分類される、未だ星を形成しつつある初期の天体からX線が出ていることを確認。星はいつからX線を放射し始めるかについての制限を与えた。(4)X線偏光に感度を持つ光学系を開発した。シリコン結晶にレーザーによるダメージを与え、X線の積分反射率との関係を明らかにした。
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