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2011 年度 実施状況報告書

塵に埋もれた活動的な超巨大ブラックホールと銀河のダウンサイジングの起源

研究課題

研究課題/領域番号 23540273
研究機関国立天文台

研究代表者

今西 昌俊  国立天文台, 光赤外研究部, 助教 (00311176)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード超巨大ブラックホール / サブミリ波 / 赤外線銀河 / 分子ガス / 銀河 / 共進化 / 活動銀河中心核 / 星生成
研究概要

太陽の1000億倍以上もの光度を赤外線で放射している赤外線銀河は、塵の向こう側に非常に強力なエネルギー源が隠されて存在する天体である。エネルギー源としては、星生成活動(星内部の核融合反応によるエネルギー生成)、あるいは、活動銀河中心核(AGN)活動(質量降着している超巨大ブラックホールによる重力エネルギーの解放)が考えられる。赤外線銀河は、赤方偏移が1を超える遠方の宇宙では、宇宙全体からの赤外線背景放射を支配していることがわかっており、赤外線銀河という種族の塵に隠されたエネルギー源の正体を明らかにすることは、宇宙初期の塵に隠された側での星生成史、超巨大ブラックホール質量の成長の歴史の解明と密接に関連する。しかしながら、赤外線銀河では、サイズ的に小さなAGN(質量降着している超巨大ブラックホール)が塵の奥深くに埋もれてしまっており、それをきちんと見つけ出すのが難しいという大きな問題が存在する。本研究では、1. 塵吸収の影響の小さなサブミリ波に基付く観測から、見つけるのが困難な埋もれたAGNのエネルギー的役割をきちんと見積もる手法を確立させ、2. サブミリ波の波長帯で高感度のALMAを用いて、近傍から遠方宇宙の赤外線銀河を系統的に観測し、上記の問いに対する回答を与えることを目標とする。当該年度は、綿密な準備の下、ALMAの第一回の公募に提案を出し、観測時間を勝ち取るという、一番最初の、重要な目標を達成することができた。それにより、ALMA第二回以降の公募でも、より多くの観測時間を獲得し、研究を発展させていくための礎を築くことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ALMAの観測時間を獲得するという第一目標は達成され、現在観測が行われつつある状況である。データが得られた際の科学的解釈を迅速に行うための準備も進んでおり、研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

現在観測が行われ、近い将来にやってくる予定のALMA第一回公募の観測データ(赤外線銀河6天体)を解析し、科学的成果を得る。国内外の研究会でその成果を積極的に発表することによって我々の存在感を示し、第二回以降のALMA公募での観測時間の獲得へとつなげる。赤外線銀河の塵の奥深くに埋もれて見つけるのが困難な活動的な超巨大ブラックホールに関して、欧米に負けない系統的で重要な成果を日本から発信することが、本研究の最終目標である。

次年度の研究費の使用計画

ALMAの観測が全般に遅れているため、成果発表に必要な経費を平成24年度以降に持ち越すために、平成23年度の使用額を少なめにした。平成24年度は、国内外の研究会で成果発表を行うための旅費、滞在費に一定額を使用する計画である。また、ALMAの第二回以降の公募でも時間を獲得するために、共同研究者との入念な準備、議論も欠かせない。このための旅費、滞在費にも支出する。最後に、ALMAのデータは、一天体、一つの観測モードあたり300GB程度と非常に大きいことが判明したため、解析を効率的に行うために、充分な容量のハードディスク、及び、高性能のコンピューターも購入する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] すばる/Gemini望遠鏡による近傍赤外線銀河の赤外線18um高空間分解能撮像観測2011

    • 著者名/発表者名
      Imanishi, M., Imase, K., Oi, N., & Ichikawa, K.
    • 雑誌名

      The Astronomical Journal

      巻: 141 ページ: 156 (14pp)

    • DOI

      10.1088/0004-6256/141/5/156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 3.3umPAH放射とAGN活動の結び付き2011

    • 著者名/発表者名
      Woo, J. H., Kim, J. H., Imanishi, M., & Park, D.
    • 雑誌名

      The Astronomical Journal

      巻: 143 ページ: 49 (8pp)

    • DOI

      10.1088/0004-6256/143/2/49

    • 査読あり
  • [学会発表] 毋銀河の性質から調べるULIRG・LIRG・QSOの進化関係2012

    • 著者名/発表者名
      大井渚、今西昌俊
    • 学会等名
      日本天文学会2012年春季年会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2012年3月22日
  • [学会発表] すばるIRCS+AO観測による近傍合体銀河の赤外線K,L,Mバンド撮像観測2012

    • 著者名/発表者名
      森珠実、今西昌俊、済藤祐理子
    • 学会等名
      日本天文学会2012年春季年会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2012年3月22日
  • [学会発表] SDSS QSOで探るz=3での超巨大ブラックホールとバルジの宇宙論的進化2012

    • 著者名/発表者名
      済藤祐理子、諸隈智貴、峰崎岳夫、川勝望、川口俊宏、長尾透、松岡健太、今西昌俊、他
    • 学会等名
      日本天文学会2012年春季年会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2012年3月20日
  • [学会発表] 近赤外Paα輝線によるBH質量の測定2012

    • 著者名/発表者名
      今瀬佳介, 今西昌俊
    • 学会等名
      日本天文学会2012年春季年会
    • 発表場所
      龍谷大学
    • 年月日
      2012年3月20日
  • [学会発表] 母銀河の有効半径から見積もる超高光度赤外線銀河のブラックホール質量2011

    • 著者名/発表者名
      大井渚、今西昌俊
    • 学会等名
      日本天文学会2011年秋季年会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2011年9月20日
  • [図書] Gemini天文台の科学運用と装置開発計画の紹介2011

    • 著者名/発表者名
      Kleinman, S. J., Jorgensen, I 和訳(今西昌俊)
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      日本天文学会 天文月報 2011年6月号

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公開日: 2013-07-10  

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