研究課題
太陽大気の加熱・活動性の観測的理解を目指し、「磁気リコネクション」を核に、光球~彩層~コロナのエネルギー輸送の観測的研究を主題に、3つの課題に多角的に取り組んだ。(1)太陽大気中で磁気エネルギーがどのような輸送過程で蓄積され、そしてリコネクション(太陽フレア)が駆動され、突発的なエネルギー輸送に至るかについての観測的明確化を目指した。特に、太陽観測衛星「ひので」で得られる太陽表面(光球)での物質の流れに注目し、磁気エネルギーの蓄積および巨大フレアの駆動を検討した。2012年3月7日の巨大フレアに着目し、磁気中性線に沿って水平磁場が形成され、その水平磁場に沿って励起された音速流が、フレア駆動の磁場構造を形成し、最終的に爆発に至ることを初めて示した(Shimizu, Lites & Bamba 2014として出版)。(2)像ずれをリアルタイムに検出する「コリレーション・トラッカー」用の高速CMOSカメラを試作開発し、彩層で起きるエネルギー輸送について定量的診断を可能にする0.1秒角解像度の次世代スペース光学偏光望遠鏡の概念検討を進展させた。宇宙搭載品への応用可能なセンサを選定し、カメラ制御回路を独自に開発し、約1500フレーム/秒での高速撮像を実現した。(3)彩層~コロナの多温度プラズマを高時間分解能(0.5-10秒)・高解像度(0.3秒角)で紫外線分光する次世代分光望遠鏡について欧米共同研究者らと概念検討を行った。この望遠鏡は数万度の彩層から100万度以上のコロナまでのプラズマの流れや波動等でのエネルギー輸送を定量的にとらえる新しい観測機器である。検討(2)(3)の結果は、2015年頭に提出したSolar-Cミッション提案の観測装置(光学磁場診断望遠鏡、EUV高感度分光望遠鏡)に含まれた。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)
PASJ
巻: 66 ページ: S14
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