研究課題/領域番号 |
23540280
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
前田 良知 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (80342624)
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キーワード | X線天文学 / 大質量星 |
研究概要 |
前年度に引き続き、軌道要素等が精密に求められている大質量星連星系の論文作成を進めた。前年度に引き続き、国際的なキャンペーン観測を行ったHD193793システムについての結果をまとめている。Secondary の WC7 型星の質量放出率は1.2 x 10-5 Mo/yr と導かれ、過去の観測より factor で小さな値になっている。WR星の質量放出率は、大質量星の進化そのものにおおきな影響を与えるパラメーターであり、かつ、その後の爆発(超新星)にも影響を与える根本的なパラメーターである。上記の内容はすでに査読論文に投稿済みで審査中である。 2012年7月にイギリス・ケンブリッジに次期X線天文衛星「Astro-H」の会合に参加し、Astro-H SXS で可能になる大面積高エネルギー分解能観測による大質量星研究の科学的目標について議論した。2013年2月のつくばでの会合にも出席し、現在科学白書としてまとめる作業を行っている。我々が提案しているX線を用いた新しい星風パラメーターの制限法については、チーム内から高い評価を得ている。我々の新しい手法を用いれば、原理的にはX線の吸収量を用いた不定性の少ない質量放出率を導出することができる。 このAstro-Hの観測の実現を可能にする応答関数の作成作業にも映っている。望遠鏡の集光性能などを実測し、この値を元に観測計画の詳細を今年度詰める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結果が出始めており、論文や白書にまとめている段階まで進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度同様に、観測データの取得を進め、データ解析を行う。結果を論文にまとめていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度同様に、データ解析、学会発表及び論文制作費用に充てる。可視光追観測のための旅費にも充てる。キャリブレーション情報の取得のため、Spring-8 、KEK などの放射光施設への出張旅費にも使う。
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