前年度に引き続き、軌道要素等が精密に求められている大質量星連星系の観測的研究を進めた。前年度に引き続き、国際的なキャンペーン観測を行ったHD193793システムについての結果をまとめている。また、その他のシステムの研究も進め、2014年2月にてSuzaku-MAXI 研究会(Expanding the Frontiers of the X-ray Universe)@愛媛大学、2013年12月にMulti-Messengers from Core-Collapse Supernovae (MMCOCOS)にて最新の大質量星の研究結果について報告した。前者は軌道に相関しない強度変動を示すことを世界に先駆けてしめした。後者では、大質量星はいずれ超新星爆発を起こすが、大質量星がどのような爆発を起こすかを推測できる観測量についての議論を行った。 2014年2月に愛媛大学での次期X線天文衛星「Astro-H」の会合に参加し、Astro-H の高分散分光器で可能になる大面積高エネルギー分解能観測による大質量星研究の科学的目標について議論した。現在科学白書としてまとめる作業を継続している。我々が提案しているX線を用いた新しい星風パラメーターの制限法については、チーム内から高い評価を得ている。我々の新しい手法を用いれば、原理的にはX線の吸収量を用いた不定性の少ない質量放出率を導出することができる。 このAstro-Hの観測の実現を可能にする応答関数の作成作業にも映っている。望遠鏡の集光性能などを実測し、この値を元に観測計画の詳細を詰めた。
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