研究課題/領域番号 |
23540282
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
二間瀬 敏史 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20209141)
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キーワード | 重力波天文学 / ブラックホール / インフレーション |
研究概要 |
近い将来の重力波観測による重力波天文学にとって、さまざまな天体現象からの重力波の理論的な波形予想が非常に重要である。 さまざまな天体の中で特に興味深いのがブラックホールであり、銀河中心の超大質量ブラックホールから素粒子レベルのミニブラックホールまでさまざまな種類のブラックホールの存在が予想される。これらのブラックホールの内部構造として近年関が高まっている暗黒エネルギーの寄与を考えたとき、どのような内部構造が実現されるか、そしてその構造が安定が内部であるのかについて。加速器実験で生成が可能と考えられている身にブラックホールを念頭に研究した。この場合、質量、角運動量のみならず電荷をもったブラックホールも生成が可能と思われる。そこで質量、電荷をもったブラックホール内部に暗黒エネルギーとして宇宙定数を考えて、アインシュタイン方程式を解き、これえまで知られていなかった一連の解を発見した、。またこれらの解のうちあるパラメータ範囲で安定なブラックホールが存在することを示した。 また宇宙初期のインフレーション時に生成される密度揺らぎや重力波の計算に用いられるデルタN定式化と呼ばれる方法について、その前提条件を詳しく検討し、計算結果のその妥当性を示した。これを用いて生成される揺らぎの非ガウス性を表すパラメータの間にある不等式が成り立つことを示した。 また銀河中心の超巨大質量ブックホール近傍を恒星質量程度の小天体が光速度程度の超高速で運動する際に放射される重力波を理論的に求める方法についての研究が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに今年度までにインフレーション起源の重力波放射を計算する方法の論文とアインシュタイン方程式の内部特異点をもたないブラックホール解の発見とその安定性を論じた論文が掲載されている。また高速天体から放射される重力波の計算に必要な点粒子極限についてはすでに定式化を終えているので、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、特に銀河中心の超大質量ブラックホールのまわりの恒星質量クラスのブラックホール、中性子星の高速運動によって生成される重力波の正確な波形を計算するには、重力波放射による運動の反作用を具体的に考慮する必要があり、この問題について、私がこれまで発展させてきた点粒子極限に基づいて考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は上記、高速天体の重力波放射の反作用の問題をドイツ、ポツダム近郊のマックス・プランク重力物理学研究所に滞在し、同じ問題に取り組んでいる共同研究者との議論を通じて研究を進めていく。 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の国際共同研究など研究遂行に使用する予定である
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