研究課題/領域番号 |
23540283
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 昌弘 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10222366)
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研究分担者 |
BORZUMATI Fran 東北大学, 国際教育院, 准教授 (50599719)
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キーワード | 素粒子物理学 / 素粒子論 / フレーバーの物理 |
研究概要 |
標準模型の電弱対称性の破れが内包するエネルギースケールの問題を解決するために提唱されるテラスケールの新たな物理スキームは「エレメンタリー・シナリオ」と「ダイナミカル・シナリオ」に大別される。これらのシナリオは様々な形でフレーバーの問題を内在する。本研究ではそれぞれのシナリオについて自然で有望と思われる模型を構築し、寺スケールで現れるフレーバー構造を調べ、トップクォークの性質やフレーバー混合などについて実験的に検証できる現象論的帰結を導くことを目的とする。 今年度LHC実験において約125GeVの質量をもつヒッグス粒子と考えられる新たな粒子が発見された。この事実は電弱対称性の破れがおそらく「エレメンタリー・シナリオ」で記述されることを示唆していると考えられる。そして、標準模型のさらなる基礎理論となる理論として超対称標準理論が有望視される。 このような考察に基づき、超対称標準理論の現象論的研究を進めた。山口は、どのような超対称理論の模型が125GeVのヒッグス粒子の諸性質を再現するか調べた。特にミニマルな超対称標準模型にゲージ一重項を加えた模型を構築し、ヒッグス粒子に関する実験結果を再現する特徴的なパラメータ領域を特定した。 ボルズマティは一重項を含む超対称模型について、フレーバー物理からくる実験的制限を詳細に研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LHC実験におけるヒッグス粒子に関するデータを取り入れ、超対称模型を構築することに成功するした。研究はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
LHC実験の結果は、素粒子の新しい物理が超対称模型などの「エレメンタリー・シナリオ」を強く示唆していると考えられる。来年度も実験結果を再現する超対称模型を構築するとともに、そのフレーバー構造について詳細に調べ、フレーバー物理に対する影響やフレーバー物理からの示唆について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、当初計画していたコンピュータソフトの更新を延期することによって生じたものであり、延期したコンピュータソフト更新に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。また、研究打ち合わせ及び国際会議での研究成果発表を積極的に進める。国内外の専門家を招へいし最新の研究動向についての情報交換を行う。こうした目的のために旅費を計上する。実験との関連が重要になるため素粒子物理学に関する専門書を中心に購入する必要がある。LHC実験の最新成果に関連する研究発表を分類するために研究補助を必要とする。
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