Hong Liu、Bogdan Stoicaとともに、4次元のAdSの中にゲージ場や計量テンソルとChern-Simons型の結合をするスカラー場がある場合に、それに双対な3次元の場の理論における角運動量の生成やホール粘性係数を計算した。特に、スカラー場が3次元の場の理論の共形不変性を保つ変形を引き起こす場合には、角運動量の生成が4次元の軸性磁場効果との関係があることを明らかにし、また、共形不変性を壊す変形を引き起こす場合には、角運動量にすべてのスケールの自由度が寄与することを示した。また、このような角運動量とホール粘性係数との関係を議論した。 中村真とともに、定常非平衡状態における温度の概念を、ホログラフィーを使って考察した。熱浴の中の部分系に、電場をかけるなどの方法でエネルギーを流し込むと、部分系の温度が上がって、部分系から熱浴の中にエネルギーが流れ込み、非平衡であるが定常な状態が起きると考えられる。これを実現するような系をAdS/CFT対応を使って分析した。その結果、実際に部分系から熱浴へのエネルギーの流れが見られたが、温度は必ずしも上昇するわけではなく、逆に温度が下がるような状況も起きることを発見した。これは熱力学の常識に反するようであるが、揺動散逸定理と矛盾がないことも確認した。
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