銀河は「島宇宙」と云う言葉に代表される「閉じた」存在ではなく銀河に随伴した物質は銀河の重力半径以遠迄擴がる。此は、暗黒物質と宇宙塵の研究に於て、全体量が部分量の總和より大きいと云ふ矛盾の解明に端を発した知見である。今回の研究では、観測的情報が受動的に得られる宇宙塵の分布を調べ、銀河で生成された宇宙塵中、約1/3が銀河に留まり、1/3はMgII吸収線天體に捕捉され、残りの1/3は銀河間空間に飛ばされてゐる事を示した。同時に減衰型Lyman alpha吸収線天體にも宇宙塵の存在が示され、吸収線天體に存在する重元素は銀河の星生成で創られたものが、銀河風で運ばれ吸収線天體に付着したと考へて矛盾しない。
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