研究課題
H24年度は野村、飛岡、白井と四人で、今まで超対称性が見つかっていないことを説明する縮退したスペクトルが出る簡単な模型「コンパクト超対称性」を発見した。新たな空間次元がオービフォルドという線分である場合、第零近似では超対称性粒子が全て同じ質量になる。特にゲージ粒子のパートナーと物質粒子のパートナーが縮退することが自然に理解できる。更に摂動の効果を入れると縮退は解けるが、それでもスペクトルはかなりコンパクトになっており、実験的な制限がゆるくなる。つまり割と軽めであってもLHCで見つかっていない可能性がでてきた。H25年度はファイン・チューニングを最大限避けるヒッグスの模型を提案した。一重項を用いた超対称性の模型はNMSSMなどがよく知られているが、一重項が重くなるとともにファイン・チューニングが再燃する。我々は一重項でもディラック型のものを導入することで、重くしてもファイン・チューニングに効かないセミ・ソフトという新しい形の超対称性の破れのパラメータを発見した。H26年度にはプリンストン高等研究所のポスドクAnson Hookと共同で、新たな模型を発見した。これはLHCでの制限と、宇宙論におけるグラビティーへの制限を和解させる理論である。超対称性の破れがU(1)ゲージ対称性のD-termと呼ばれる項を通じて超対称性粒子の質量を生む機構である。これによりスピン0の超対称性粒子は数十TeVと重くなり、ヒッグス粒子が予想よりも重かったことを自然に説明する。一方スピン1/2の超対称性粒子はTeV程度であり、今年からのLHC Run2で発見される可能性を残す。同時にグラビティーノは非常に軽く宇宙論の制限を満たすことが同時にできる。これを「ベクトル・メディエーション」と呼んだ。また、ヒッグス粒子の精密測定を理論と比較できるようにするための枠組みを有効理論を使って具体的に提案した。
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