研究概要 |
ゲージ重力対応に基づいた、N=4超対称ゲージ理論におけるグルーオン散乱振幅と反ドジッター時空中の極小曲面の面積の対応を研究した。n点グルーオン散乱振幅について摂動論から予想されている、Bern-Dixon-Smirnov公式からのずれであるremainder関数の、強結合領域における解析的構造を、可積分模型特に2次元共形場理論の可積分摂動により理解することを目標とし, さらにそれに関係する超対称ゲージ理論の可積分構造を調べ、その可解性の成立する原理を研究し、今年度は以下の成果を得た。 AdS4反ド・ジッター空間中の極小曲面に対応するremaider関数を一般化されたparafermion模型の可積分摂動と熱力学的ベーテ仮説方程式の方法で評価を行った。さらに一般の運動量配位をもつ6点グルーオン散乱振幅とAdS5反ド・ジッター時空中の6個尖点をもつ極小曲面の対応を調べ、その強結合領域におけるremaider関数の解析的展開を行った。この展開を、ODE/IM対応と呼ばれる常微分方程式の漸近解の接続問題(Stokes現象)と可積分模型に現れる関数関係式の対応の研究から現れた、量子ロンスキアンと呼ばれる方法を用いて行った。これに関連して、これまで現象論的にしか見られなかったODE/IM対応をアフィンリー代数に基づく戸田方程式 の観点から初めて分類することに成功した。 またオメガ背景場における超対称ゲージ理論の可積分構造についても研究を行い、N=4位相的対称性がオフシェルで保たれること, またM2ブレーンにおけるBPS方程式の可積分性やE型弦理論におけるNekrasov公式を確立する等新しい結果を得た。
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