研究課題/領域番号 |
23540295
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江尻 信司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10401176)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 素粒子論 / 計算物理 |
研究概要 |
本研究では、宇宙誕生直後に起こったとされる高温高密度でのQCDの相転移に関して以下の2つの研究を行っている。1、低密度領域での2フレーバーQCDの相転移の性質を理解するために、ゼロ密度の相転移温度付近、いろいろな温度、いろいろなクォーク質量でシミュレーションを行い、各点でのカイラルオーダーパラメータとその化学ポテンシャル微分の値を計算した。そして、そのオーターパラメータのスケーリング則を調べることにより、予想されているように、O(4)スピン模型を同じユニバーサリティークラスに属しているかどうかを調べた。さらに、そこで比較したスケーリング関数の中のパラメータである、高温相と低温相を分ける相転移線の曲率を、密度ゼロ・クォーク質量ゼロの極限で計算した。ユニバーサリティーの議論では、計算精度が十分でなく、はっきりとした結論は得られていないが、そのスケーリング関数を仮定すれば、その相転移線の曲率が計算精度の範囲で決定できることが分かった。2、未だに研究が困難なQCDの高密度領域を数値シミュレーションによって研究できる、新しい計算方法の開発を行った。化学ポテンシャルがゼロでないと、ボルツマンの重みが複素数になり、モンテカルロ・シミュレーションができない。今年度は、その重みの複素位相を省いてシミュレーションを行い、期待値を計算するときにその重みの補正を行うという方法が有効であることを確かめた。我々の提案する符号問題を多項式展開の収束性の問題にすりかえる方法を組み合わせれば、かなり高い密度までQCDの研究が可能になるであろうことが今までの試験的な研究で分かった。その研究を進め、高密度状態の計算方法の確立を目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1、オーダーパラメータのスケーリング則の調査は、低密度領域での高温相と低温相を分ける相転移線を決める方法として有効であることが分かった。しかし、今のところ統計誤差を小さくできず、そのまま統計を増やすべきか、方法の改良を考えるべきかを決めかねている状況である。2、ボルツマンの重みの位相を省いてシミュレーションを行い、後でその分を補正する方法が高密度状態の研究で有効であることが分かってきた。研究を進め、高密度状態の計算方法を確立したい。
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今後の研究の推進方策 |
オーダーパラメータのスケーリング則の研究に関しては、統計誤差をいかに減らすか考えなくてはいけない状況である。試行錯誤で最良の方法を見つけたい。高密度での計算方法の開発は、格子サイズを大きくしたり、クォーク質量を現実のものに近付けたりしながら、徐々に試験的な計算から本格的な計算に移行していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究はおおむね順調で、研究を進めるにつれて、計算したいことが増えている。少しでも我々の利用できる計算機を増やしたいため、予算の許す範囲で現在利用しているクラスターコンピューターの増設を行う予定である。
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