研究課題/領域番号 |
23540296
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野尻 伸一 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00432229)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 暗黒エネルギー / 修正重力理論 / インフレーション |
研究実績の概要 |
宇宙の加速膨張を中心に宇宙の時間発展を記述するような模型として、様々な修正重力の模型を調べた。これらの模型の中で、以前から調べていた、スカラー場が重力と結合した理論やいわゆる F(R) 重力理論、F(T) 重力理論に加え、重力子が質量を持つ理論、二つの計量を含む理論、ボルン=インフェルト型の重力理論について、矛盾のない模型となっているかどうかを調べた。また、近年の宇宙の観測から、宇宙初期についての情報が得られてきていることから、それに基づいて、これらの修正重力の模型を検証できないかを調べた。以上の研究は論文にまとめられ、既に9編の論文が学術雑誌に掲載されている。 重力子が質量を持つ理論では質量を持つスピンが2の粒子が現れ、自己相互作用をする。私は学生と、この模型を簡単化した模型を提案するとともに、背景時空が曲がっているときに矛盾がないとともに解が安定になる条件を調べた。二つの計量を含む理論については、この理論でブラックホールが解として現れる条件や、そのエントロピー、また反蒸発という現象が起こるかを調べた。ボルン=インフェルト型の重力理論では、曲率に上限があると期待されるので、この模型で星の崩壊によってブラックホールが形成されるかなどを調べた。その他、スカラー場が重力と結合した理論やいわゆる F(R) 重力理論、F(T) 重力理論、更にマイメティックと呼ばれる理論、ドメインワォール宇宙についてインフレーションと矛盾がないか等を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の目的は主に次の3つである: 1. 宇宙初期のインフレーション、約50億年前から始まった宇宙の加速膨張や暗黒物質を説明する模型が存在するかを系統的に調べるとともに、顕にそのような模型の構築を行う。2. そのような模型が、現在の宇宙の大規模構造をもたらす物質の成長等を様々な観測や実験と矛盾がなく説明できるかを確かめるとともに、これらの模型を実験・観測による検証の可能性を検討する。3. 超弦理論に基づく重力理論的立場と、より現象論的な素粒子論の立場の両方から、模型の考察を行い、宇宙論から素粒子理論へ明確なフィードバックを与える。 1. については、ドメインワォール宇宙理論や、その他の多くの修正重力の理論で充分に現実的な模型を構築できることを示している。2. については重力子が質量を持つ理論、二つの計量を含む理論、ボルン=インフェルト型の重力理論について、密度揺らぎの計算を始める準備をしている。この計算は思いの他複雑であることが分かり、時間をかけている。3. については、質量を持つスピンが2の粒子やボルン=インフェルト型の重力理論は、超弦理論等から自然に表れることが期待されており、加速膨張の模型として考えたときやその他の観測等からどのような制限が付き、超弦理論からどのような予言ができるかを調べている。 以上のように目的の8割以上は達成され、残りの問題も明確になりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築してきた模型について、密度揺らぎなどを高次の項まで含めて計算する手法を確立する。この計算によって得られた揺らぎの構造は、スカラー場が重力と結合した理論などとは異なり、テンソル的な揺らぎに大きな影響を与えるはずであり、この特徴を明らかにし、将来の観測で検証する可能性を明らかにする。 また、質量を持つスピンが2の粒子の理論や二つの計量を含む理論、ボルン=インフェルト型の重力理論と超弦理論等の高次元の理論の関係を明らかにし、これらの理論からどのような予言が出来るかを調べる。 研究費は外国にいる共同研究者のグループを訪問して直接議論するとともに、国内外での研究会で、これまでの研究成果を明らかにし、他研究者と議論を行うために使用する。また、国内外から研究者を招き、情報の提供を受けるとともに、議論を行うために使用する。
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