任意個数の中性ヒッグスボソンを電弱対称性の破れに導入する模型において、電弱ゲージボソンの高エネルギー散乱振幅のユニタリティーを保つようにするためにヒッグス結合が満たさねばならない一般的な条件(ユニタリティー和則)を書きくだした。その結果、カストディアル対称性を明示的に用いなくても、ツリーレベルのρパラメータが1にならねばならないことが示された。また、ユニタリティー和則を課すことで、1ループレベルの電弱オブリーク補正の計算結果が有限に保たれることも示された。これらの結果をこれまでに知られている素粒子現象と比較することにより、125GeVヒッグス粒子の結合定数、および、2番めに軽いヒッグス粒子の質量に対し、強い制限を与えることができた。これらの結果はまた、軽いヒッグス粒子を含む一般的なヒッグスセクターの低エネルギー有効理論と直接比較することが可能であり、この研究における125GeVヒッグス粒子のヒッグス結合と2番めに軽いヒッグス粒子の質量を、低エネルギー有効理論の結合パラメータおよび紫外切断パラメータに対応させることができることを示した。 以上の結果は、査読付き論文誌にすでに出版済みである。また、研究代表者自身による国際会議での講演に加えて、共同研究を行っている博士課程学生によって、日本物理学会秋季大会で発表されたほか、HPNP2015国際会議(富山)、SCGT15国際会議(名古屋)などの研究集会での発表を行った。これらの国際会議には、国内外の有力研究者が多数出席していた。とくにこの科研費を用いて招聘した海外の有力研究者がSCGT15会議に参加することで、この研究実績を有効的に国際公知することができた。
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