研究課題/領域番号 |
23540299
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
前川 展祐 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (40273429)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 大統一理論 / 超対称性 / 異常U(1) / 宇宙論 / バリオン生成 / ダークマター / インフレーション / 真空選択 |
研究概要 |
自然な大統一理論で予言される中間質量を持つ長寿命粒子の宇宙論的な役割を考察した。SU(5)の10表現の重たい粒子の崩壊により、バリオン-レプトン数が破れることが示せ、その結果、B-L生成が可能であることが判明した。レプトン生成以外のB-L生成が可能であることを初めて示したことになる。残念ながら、自然な大統一理論で我々が興味のある具体的な例においては右巻きニュートリノが軽すぎるため、せっかくできたB-L数が無くなってしまうことがわかっているので、この模型には応用できないが、より一般的な自然な大統一理論においては、適用可能である。 重たい粒子の崩壊により、ダークマターを生成する可能性について真面目に考えると、重要なパラメータとして、一つの崩壊により何個のダークマターが生成されるか、ということが重要になってくる。超対称性理論においては、おおざっぱには、1個と評価されてきたが、実際は、シャワーの中にダークマターが生成されるので、それより大きくなり得る。その数を一般化されたDGLAP方程式を数値的に解くことで評価し、重たい粒子の質量や様々なあり得る崩壊モードに対して表を作成した。重たい粒子でクォークやグルーオンに崩壊する粒子は、100個以上にもなりうることを示した。このような基本的な計算は初めてのことである。 自然な大統一理論では、複数の超対称を持つ真空が存在し、現象論的に望ましい真空が選択される理由は、場の理論を考えているだけでは理解できなかったが、宇宙の歴史、特に、粒子生成の効果を考慮すると、現象論的に望ましい真空が自然に選択されることがわかってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
もともと、2つのバリオン生成に関するシナリオを検討し、一つは可能であるがもう一つは難しいという結論となった。また、ダークマター生成に関する研究も最初にもくろんでいたシナリオはうまくいかないことが判明したが、そのシナリオを考える上で行った基本計算が仕事にはなった。真空選択に関しては計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
真空選択とその後に起きる可能性があるインフレーションの研究を遂行していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
宇宙論に関しては、埼玉工大の松田さんと共同研究を始めているので、研究打ち合わせのための旅費を使う予定。その他、研究発表や他の人との打ち合わせ等の旅費。また、発表費にも使用。
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