研究課題/領域番号 |
23540300
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山脇 幸一 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究機構, 特任教授 (90135301)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 複合模型 / 質量の起源 / ゲージダイナミックス / ウォーキングテクニカラー / 格子ゲージ理論 / コンフォーマル対称性 / テクニディラトン / LHC |
研究概要 |
近似的コンフォーマル対称性をもつウォーキングテクニカラー理論検証について、理論特有の軽い複合スカラー粒子であるテクニディラトンのLHCでの証拠となりうる崩壊モードの詳細な研究を行い、600GeVおよび125GeV付近にテクニディラトンの発見の可能性があることを指摘した。いずれの場合にも標準模型のヒッグス粒子と異なり2光子崩壊のみが大きくなる特徴があることを明らかにした。 格子ゲージ理論による大きなフレーバー数のQCDの計算機実験をフレーバー数=(0)、4、8、12、16の全てに対して平行して実行した。複合スペクトルの測定から、4フレーバーがハドロン相にあることを確認し、それとの比較で8および12フレーバーの場合の際立った違いを見いだした。8フレーバーがきわめてコンフォーマルに近いハドロン相すなわち1に近い異常次元をもつウォーキング理論である兆候を発見した。また、12フレーバーがコンフォーマルウィンドーに入っていて異常次元が0.4-0.5の理論である兆候を確認した。16フレーバーについてはコンフォーマルウィンドー内であることは確認したが、異常次元が摂動より遥かに大きい結果を得たため格子理論特有のアーティファクトの可能性も含めて考察を進めている。格子国際会議、などの国際会議で報告し、論文をまとめているところである。 酒井-杉本模型などのホログラフィックQCDの低エネルギー有効理論を重いモードを積分して隠れた局所対称性の理論として系統的に研究した。アノマリーに関連したベクターメソンおよびZボソンのプロセスを隠れた局所対称性の理論で分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
テクニディラトンのLHC実験での検証の論文が非常にタイムリーに発表でき、今後のLHC実験でウォーキングテクニカラーの検証のメドが立った。格子理論の計算機数値実験によるウォーキング理論の研究の方はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
LHC実験によるウォーキングテクニカラーの検証は今年度の最大の課題であり、実験の進展に合わせてテクニディラトンのみならず既に行っているテクニパイオンの解析を完成させる。 格子理論の計算機数値実験よる研究はスペクトルの解析をスカラー粒子、グルーボールなどにまで広げてテクニディラトンの性質の解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
夏にはStockholmへの出張。12月には関連する研究テーマについての国際会議2012 KMI International Workshop ``Strong Coupling Gauge Theories at LHC, Lattice and String''を計画している。外国からの参加者の旅費補助などに使う。1月のアスペン会議、3月のモリオン会議などへの出席。共同研究者の旅費補助。
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