重力の熱的性質とホログラフィー的性質は量子重力の基本的力学変数を同定する際の手がかりと考えられるが、その両方を説明するため、重力のダイナミクスを相対論的な非平衡緩和過程と捉え、非平衡統計熱力学を様々な角度から調べた。とくに、「形の熱力学」を一般座標不変に構築することと、曲がった時空上の場の量子論の理論の進展に成功した。また、膜のダイナミクスから量子重力理論を定義する試みとして、膜のランダム世界体積を生成する新しい型の行列模型を提唱した。さらに、コンピューター内の非平衡緩和過程を実現するマルコフ鎖モンテカルロ法に対して配位間の距離を導入することで、非平衡緩和過程における幾何の創発を初めて示した。
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