研究課題/領域番号 |
23540305
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 卓史 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80155837)
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キーワード | ガンマ線バースト / 宇宙論 / 超新星爆発 / 中心エンジン |
研究概要 |
ガンマ線バースト(GRB)には継続時間が1秒程度のSGRBと継続時間が30秒程度のLGRBの2種類があって、SGRBは中性子星の連星、LGRBはヘリウム層まで剥がされたWolf-Rayet星を起源とする説が有力である。しかし、最近、継続時間が極めて長く1万秒にも達するGRBが見つかりだし、Ultra-Long GRB(ULGRB)という新しいクラスが存在する事が明らかになった。そこで、今年はこのULGRBの起源の研究を行った。極めて興味深い事にGRB121027AというULGRBはLGRBの米徳関係式に従う。我々は金属量が少なくて水素の外層を質量放出で失わない、いわゆる青色巨星起源を提案した。この場合、外層の自由落下時間が丁度継続時間の1万秒位になる。また、中心のブラックホールから発生したジェットが作る熱いcocoonが10日後くらいに超新星の100倍くらい明るいSuper-Luminous 超新星を起こす事も明らかにした。この予想は観測事実と信じられないくらいに一致する事が分かり、国際会議でも注目された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米徳関係式を理論的に解明するのが目的であるが、昨年度米徳関係式はLGRBとSGRBで関数形は似ているがSGRBでは大きさがLGRBの5倍位小さそうである事がわかった。今年度は、実はガンマ線バーストには継続時間が1万秒近くもあるULGRBというもう一つのクラスもある事が明らかになって来た。ULGRBの1つのイベントはLGRBの米徳関係式に従うが、もう一つはAmati関係式の方に合う。まだ、イベント数が少ないのでULGRBの米徳関係式を決められる段階ではないが、米徳関係式が大きさこそ変わるけれどもより普遍的な関係式である事を示唆しており、GRBの起源を探る上で、極めて興味深い状況になっている。このような大きな進展を考えるならば、研究は順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
SGRBの米徳関係式を8つの赤方偏移が既知であり、スペクトルの正確な情報を持っているサンプルから決めたが、これだけでは本当の関係式がどうか不安が残る。一方、BATSEには900個近いSGRBのデータがある。これらの赤方偏移は決まっていないが、SGRBの米徳関係式を使うと赤方偏移を決める事ができる。そこで、このようにして決めた赤方偏移の累積分布関数とスペクトルの情報は暗くてないけれども赤方偏移が分かっているSwiftが観測した20個程のSGRBの累積分布関数を較べる事により、SGRBの米徳関係式をconfirmできるかどうかを調べる。その後、米徳関係式の統一的な理論的理解に迫る予定である。経費は主に旅費、論文の投稿料等に充てる。
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