研究課題/領域番号 |
23540309
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田越 秀行 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30311765)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 宇宙物理学 / 一般相対論 / 重力波 / 重力理論 / データ解析 / ブラックホール |
研究概要 |
連星合体重力波探査の新しいノイズ選別方法として,従来のカイ2乗を改良する方法と,カイ2乗を拡張した新しい方法を考案した.現在までは式の上での理論的考察を行なっているが,今後シミュレーションなどによってその有効性を確認していく.複数レーザー干渉計検出器のラジオメトリ探査によって,おとめ座銀河団中の多数のパルサーからの重力波の重ね合わせがホットスポットとして検出される可能性について調べた.その結果,パルサーの平均楕円率が10のマイナス5乗程度であれば,数年後のLIGO, VIRGO, KAGRAといったレーザー干渉計ネットワークによって検出できる可能性があることを,解析的評価によって示した.この研究は本研究開始に研究の基本的部分は出来ていたが,本年度中に研究を完成させた.連星合体重力波探査において,完全なポストニュートニアン波形と制限された波形の比較を,Fitting Factorとパラメータ推定誤差,特に方向決定誤差について行った.制限された波形のFitting Factorは大きな質量の場合に悪くなるため,完全な波形が重要となる事が分かった.ブラックホール周りの星の軌道進化の計算のための自己力の評価のためには,Teukolsky方程式とCCK形式と呼ばれる方法によって計算を行うのが現在の主流の方法である.その計算への第一段階として,シュバルツシルドブラックホール周りに円状の回転リングがある場合の重力場を,Teukolsky方程式とCCK形式と呼ばれる方法によって計算を行なった.このような計算は電磁気の場合はやられているが,重力の場合にはやられていない新しい計算である.現在までにスピン2の重力場の計算まで行なった.今後L=0,1の低次の調和関数モードの計算を行い研究を完成させるとともに,点粒子の場合への応用に際して生じる問題点を探っていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,複数検出器によるラジオメトリ探査によるおとめ座銀河団観測の可能性について,パルサーの扁平率が大きい場合には観測可能性があることを初めて示し,論文を発表した.これは今まで誰も示していなかったことである.コンパクト連星合体解析の非定常ノイズ除去方法として,これまでにカイ2乗の方法を改良,拡張した複数の方法を考案している.今後数値シミュレーションなどによってその有効性を実証していくことになるが,研究期間内に十分行なう事ができるものと考えられる.ブラックホール摂動の問題は,当初計画では数値計算を行なう予定だったが,解析的計算のほうが緊急性が高いと判断し,解析的計算を行った.ブラックホール周りの回転リングによる重力場の摂動論による計算はこれまでされていなかった新しい計算である.これまでに技術的な様々な問題が分かって来ており,点粒子の自己力計算にも非常に有用な知見を得る事が出来た.
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今後の研究の推進方策 |
コンパクト連星合体解析の非定常ノイズ除去方法として,これまでにカイ2乗の方法を改良,拡張したほうほうについて,数値シミュレーションによりその有効性を確認・実証する.コンパクト連星合体重力波探査において,完全なポストニュートニアン波形を用いた場合の有効性と,具体的なデータ解析方法についてより詳細に調べる.ブラックホール周りの回転リングによる重力場の摂動計算について,L=0,1モードの計算を行なう.また,Teukolsky方程式の数値コード改良と,エネルギー,角運動量,カーター定数の断熱的変化率のデータベース化,fitting formula作成についても検討を行っていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
国内の学会研究会や,研究打ち合わせのための国内旅費や,海外での国際会議出席などのための外国旅費を使用する.数値的計算,Maple,Mathematica計算,論文作成,学会研究会発表でのプレゼンテーションを行なうためのコンピュータやその関連機器,データ保存用のDVD,ソフトウエアなどを購入する.また,研究資料として必要な書籍を購入する.論文を投稿する際には投稿料にも使用する.
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