研究課題
強い相互作用により支配されるクォーク・グルオン、及びハドロン多体系が、高温、高密度、強磁場など、多重にわたる極限環境下におかれた際に実現される真空構造、その上での粒子励起モードや相構造・相転移、及びこれらの多粒子系が各相で示す物性を解明することを本研究課題の主目的としている。平成25年度の実績は以下の通りである。1.強い相互作用で重要となるカイラル対称性に着目した南部・Jona-Lasinioモデルを用いて高密度クォーク物質の相構造・相転移を解明するために、カイラル対称性で許されるクォーク間4点相互作用を考えると、高密度クォーク物質ではテンソル型のクォーク凝縮が起き、スピン偏極相が現れることを示した。高密度ではカラー超伝導相が実現することが理論的に予想されているが、2フレーバーの場合ではクォーク数密度を上げていくと、カラー超伝導相からクォークスピン偏極相に相転移することを示した。フェルミ面がフェルミ球からトーラス状に移行することで、高密度では南部・Jona-Lasinioモデルの範囲内では必ずスピン偏極相が実現することを示した。この結果は学術論文として公表した。2.非一様カイラル凝縮相の研究を行い、カイラル対称性、並進・回転対称性が破れる際に現れる南部・ゴールドストン(NG)モードについて検討し、最近のゴールドストン定理の理解に合致することを示し、このNGモードの分散関係、揺らぎの相関を調べた。この結果は物理学会において報告された。3.フェルミオンが対相互作用するsu(2)代数モデルで、クーパー対演算子の変形を考えると擬su(1,1)代数構造が現れることを示し、外界と相互作用するフェルミオン多体系を扱う枠組みを与えた。この結果は学術論文として公表した。
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