G-構造は、超弦理論や超重力理論における超対称な厳密解を構成する強力な手法を提供する。本研究では、7次元および8次元空間でコンパクト化したヘテロ型超重力理論の時空を記述する厳密解の構成を行った。7、8次元に対応するG-構造は、Bergerによる特殊ホロノミー多様体の分類からG2およびSpin(7)であり、この構造を許す具体的な解を求めることを目標とした。得られた結果は、Bryant-Salamon (1989)やCvetic-Gibbons-Lu-Pope(2002)によって発見された例外型ホロノミー群を持つリッチ平坦計量(重力インスタントン)をトーションを含む形に拡張したものになっている。 正のスカラー曲率を持つコンパクトなEinstein多様体の知られている例はそれほど多くない。最初の非等質な例はPage(1979)によって2次元球面上のファイバー束に与えられた。本研究では高次元ブラックホール計量を解析接続することにより非等質なコンパクトEinstein多様体の組織的な構成を行った。 Killingベクトルは計量テンソルの対称性を記述するベクトル場である。本研究ではKillingベクトルを高階の反対称テンソル場に拡張したKilling-Yanoテンソルに注目する。Kerr時空は、このようなテンソル場を許す代表的な時空である。Killing-Yanoテンソルは、測地線方程式、Klein-Gordon方程式、Dirac方程式等々、時空上の場の方程式に対し変数分離を誘導する。計量の対称性とは異なるため、時空の“隠れた対称性”とも呼ばれる。本研究では、Killing-Yanoテンソルの存在条件をprolongationを使って定式化した。計量テンソルを入力することにより時空に独立なKilling-Yanoテンソルが何個存在するかを出力するMathematicaプログラムを作成した。
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