研究課題
本研究の目的は、計算可能領域に限界のない(全天シミュレーションまで可能な)重力レンズray-tracing技法を開発し、それを数値シミュレーションへ実装し、数値シミュレーションを実施し全天重力レンズシミュレーションデータを作成することである。今年度は、昨年度までに完成させた重力レンズray-tracingシミュレーションプログラムを国立天文台と筑波大学の大型計算機において実行し、全天重力レンズシミュレーションデータを作成した。作成したデータセットは2種類あり、一つは、同一の宇宙モデルについて角度分解能約1分角のデータを異なる初期条件について10セット作成した。もう一つは、2種類の異なる宇宙モデルについて角度分解能約0.3分角の高分解のデータである。この成果は、「国立天文台ニュース」2013年11月号においても報告している。前者は、大規模サーベイ観測の疑似データ作成への応用を主目的としており、後者は重力レンズを用いた宇宙論研究への応用を主目的をしている。計算精度のチェックのためにシミュレーションデータから重力レンズ密度場のパワースペクトラムを測定し、理論モデルとの比較を行った。その結果、計算が正しく行われると予想されるスケールにおいて、非線形構造形成効果を取り入れた理論モデルとの良い一致が得られた。この事から、期待される計算精度が確かに達成されていることを確認できた。現在、作成されたシミュレーションデータセットから大規模サーベイ観測の疑似データ作成、および高角度分解能データを用いた宇宙論研究を推進している。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: Vol.65 ページ: 104
10.1093/pasj/65.5.104
The Astrophysical Journal
巻: Vol.774 ページ: 111
10.1088/0004-637X/774/2/111
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: Vol.432 ページ: 1021-1031
10.1093/mnras/stt521
http://th.nao.ac.jp/MEMBER/hamanatk/RAYTRIX/index.html