2014年度で、まとめの論文を発表することができた点が最大の成果である。2013年のヒッグス粒子発見を受け、それと無矛盾な超対称性理論のパラメーター領域は、厳しく制限されることとなった。その範囲内で、超対称性粒子がダークマタ―になる条件と、長寿命荷電粒子がBBNに与える悪い影響を逃れる条件を課す場合、さらにパラメーター領域は制限される。我々はsinglinoという新粒子を一つ導入することにより、超対称性理論を拡張すれば、そのsinglinoがダークマタ―となり、BBNにおけるリチウム7問題とリチウム6問題を同時に解決することを示した。これは、当初から目標としていた長寿命荷電粒子が宇宙初期に与える影響を総括する結果であり、本研究課題の目的を達成したと結論できる成果である。
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