研究課題/領域番号 |
23540332
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研究機関 | 岡山光量子科学研究所 |
研究代表者 |
村上 公一 岡山光量子科学研究所, その他部局等, 研究員 (00400698)
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研究分担者 |
二宮 正夫 岡山光量子科学研究所, その他部局等, 所長 (40198536)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 素粒子論 / 弦理論 / 場の理論 / 素粒子論的宇宙論 |
研究概要 |
当該年度においては、先ず、光円錐ゲージのNSR形式の超対称な閉弦の場の理論を完成させることを目標として掲げた。この理論には、contact項の問題と呼ばれる発散の問題があり、前年度までに提案していた次元正則化の処方を一般化・整備することによって、理論に期待される対称性を保った処方を完成させることで、この問題を解決することを目指した。先ず、NS-Rセクターに属する弦の場が現れる振幅において、我々がNS-NSセクターで構築した手法を直接的に応用しただけではうまくいかないことがわかった。この困難は、正則化された理論に余計な自由度を導入することにより、少なくともtree振幅においては、克服できることを見出し、研究論文にまとめて発表した。次にmulti-loopの振幅に拡張することを試みた。先ずその準備として、ボソン的な光円錐ゲージの弦の場の理論において非臨界次元でのmulti-loop振幅の計算を行い、非臨界次元においても、モジュラー不変な振幅を構成することが可能であることを見出した。この成果は京都およびプラハでの研究会で発表した。 また、予定していた研究の順序を変更して、ゲージ不変なWitten型の超開弦の理論のcontact項の問題の考察に取り掛かった。ここではstring diagramを決定する二次微分を世界面上の超共形場に格上げすることにより、次元正則化が行えそうであることがわかり、これまでに得た知見を、上述のプラハにおける国際会議で発表した。 また、研究分担者の二宮は、弦の場の理論離散化の方法による定式化という新機軸を追求し進展を得、その結果をBledで行われた国際会議で発表し研究会報告として出版した。さらに、超弦理論の宇宙論への応用についても研究を前倒しして行い、インフラトンを用いずに宇宙初期の揺らぎを生成するメカニズムを見出し、研究論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超弦の場の理論の研究においては、NS-Rセクターの弦の場に対応する、時空のフェルミオンの取り扱いに進展があった。予定ではこのままこの結果を超弦のmulti-loop振幅にまで拡張する予定であったが、この点は研究の順序を変えて、ゲージ不変なWitten型の超弦のcontact項の問題に進展を見出すことが出来た。また、新たな手法による弦の場の理論の構成の試みや超弦理論の宇宙論への応用は、予定以上のペースでの進展が見られた。以上総合的に見て、達成度の区分を「2」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、実施順序に若干の前後があるものの、研究実施計画に基づいて研究が進展している。今後もこのまま研究体制を維持して、さらに研究計画に掲げた項目の達成を目指す。具体的には、光円錐ゲージの超弦の場の理論におけるmulti-loopのcontact項の発散の問題を次元正則化を用いて解決することを目指す。また、ゲージ不変な超弦の場の理論への拡張やD-ブレーンへの応用も目指す。また、超弦理論の宇宙論への応用も引き続き推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、研究の進捗状況の兼ね合いで予定していた研究会への参加を一つ見合わせることになったため、当該研究費が生じた。翌年度においては、当該研究費はパソコンのソフトの購入に充て、今後の研究推進のための計算機環境の充実を図ることに使用する予定である。
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