二重デルタ粒子光生成反応の研究

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23540334
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 神田 浩樹 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40321971)
• キーワード: 中間子光生成反応 / 光子標識化装置 / シンチレーション検出器

研究概要

平成25年度にはこれまでに収集したπ+π-生成データの解析を続行し、また光子標識化装置の電子回路系の試作、テスト及び検出器部の設計のためのシミュレーションおよび検出器のテストを行った。
収集したデータの解析においては、トムスク工科大学のA. Fix教授と連絡を取り合い、Fix教授による理論計算結果とこの研究における実験データの解析結果との比較を行うことを中心に研究を進めた。陽子を標的とした場合のπ+π-生成反応断面積の角度依存性、エネルギー依存性については理論値や既知の実測値が揃っており、これらと今回の実験によって得られた値との比較を行うことで、今回の実験のデータやその解析における効率や問題点などを評価した。また、ダブルデルタ生成反応の角度分布の実験値を予備的に導出した。デルタ粒子が生成している質量領域とそれ以外との角度分布の比較によって、デルタ粒子の生成に特徴的な分布を見いだし、反応に伴う散乱波の軌道角運動量を導出する手がかりを得た。
光子標識化装置の開発においては、東北大学電子光センターの電子加速器の調整が進んだことにより電子の軌道および偏向電磁石の詳細な配置が決定されたため、現状の条件に合わせた光子放出後の電子の軌道のシミュレーションを行った。この結果、標識化できる光子エネルギー範囲を 0.80 GeV から 1.28 GeV とする配置を見いだすことができた。このエネルギー範囲は、今後推進してゆく中間子光生成反応の研究に必要なエネルギーの範囲を覆っている。電子検出器のパーツとして使用するシンチレーション検出器については、これまで開発を進めてきた成果について米国電気電子学会(IEEE)の発行している論文雑誌であるIEEE Transaction on Nuclear Scienceに投稿し、掲載許可を得ることができた。

研究成果

• [雑誌論文] Measurement of Charged Pion Photoproduction at ELPH (2014)
  • 著者名/発表者名: Hiroki Kanda, Brian Beckford, Takeji Fujibayashi, Takao Fujii, Yu Fujii, Kenta Futatsukawa, Toshiyuki Gogami, Yun-Cheng Han, Osamu Hashimoto, Kentaro Hirose, Kenji Hosomi, Ryotaro Honda, Alan Iguchi, Takatsugu Ishikawa, Masashi Kaneta, Yusuke Kaneko, Yuma
  • 雑誌名: JPS Conference Proceedings 巻: 1巻 ページ: 13075
  • DOI: 10.7566/JPSCP.1.013075
  • 査読あり
• [雑誌論文] Development of a fast timing counter with a monolithic MPPC array (2014)
  • 著者名/発表者名: T. Nishizawa, Y. Fujii, H. Kanda, M. Kaneta, Y. Kasai, J. Kusaka, K. Maeda, S. Nagao, S. N. Nakamura, K. Tsukada, and F. Yamamoto
  • 雑誌名: IEEE Transactions on Nuclear Science 巻: 掲載確定 ページ: -
  • 査読あり
• [雑誌論文] Study of Double Delta Photoproduction on the Deuteron in the Energy Region of Eγ = 0.65 - 1.1GeV (2014)
  • 著者名/発表者名: Fumiya Yamamoto, Brian Beckford, Takeji Fujibayashi, Takao Fujii, Yu Fujii, Kenta Futatsukawa, Toshiyuki Gogami, Yun-Cheng Han, Osamu Hashimoto, Kentaro Hirose, Kenji Hosomi, Ryotaro Honda, Alan Iguchi, Takatsugu Ishikawa, Hiroki Kanda, Masashi Kaneta, Yusuke Kaneko, Taito Kawasaki, Chigusa Kimura, et al.
  • 雑誌名: JPS Conference Proceedings 巻: 1 ページ: 013072
  • DOI: 10.7566/JPSCP.1.013072
  • 査読あり
• [学会発表] MPPC Based Scintillation Counters for the Internal Photon Tagger (2013)
  • 著者名/発表者名: Hiroki Kanda
  • 学会等名: 2013 IEEE Nuclear Science Symposium
  • 発表場所: 韓国ソウル市
  • 年月日: 2013-10-31
• [学会発表] NKS2実験に用いる新光子標識化装置の電子検出器の設計
  • 著者名/発表者名: 神田浩樹
  • 学会等名: 日本物理学会 2013年秋期大会
  • 発表場所: 高知大学
• [学会発表] Measurement of Charged Pion Photoproduction at ELPH
  • 著者名/発表者名: Hiroki Kanda
  • 学会等名: The 12th Asia Pacific Physics Conference (APPC12)
  • 発表場所: Makuhari, Japan
• [学会発表] Study of Double Delta Photoproduction on the Deuteron in the Energy Region of Eγ = 0.65 - 1.1GeV
  • 著者名/発表者名: Fumiya Yamamoto
  • 学会等名: The 12th Asia Pacific Physics Conference (APPC12)
  • 発表場所: Makuhari, Japan
• [学会発表] エネルギー領域 Eγ=0.65 - 1.1 GeVにおける重水素標的を用いたΔΔ光生成反応の研究
  • 著者名/発表者名: 山本郁也
  • 学会等名: ELPH研究会 C008 「GeV領域光子で探るメソン生成反応の物理」
  • 発表場所: 東北大学
  • 招待講演
• [学会発表] NKS2実験に用いる新光子標識化装置
  • 著者名/発表者名: 佐々木貴之
  • 学会等名: ELPH研究会 C008 「GeV領域光子で探るメソン生成反応の物理」
  • 発表場所: 東北大学
  • 招待講演
• [学会発表] エネルギー領域Eγ=0.65 - 1.1 GeV における重陽子標的を用いたΔΔ光生成反応の研究
  • 著者名/発表者名: 山本郁也
  • 学会等名: 日本物理学会 第69回年次大会
  • 発表場所: 東海大学
• [学会発表] NKS2実験に用いる新光子標識化装置のビームテスト
  • 著者名/発表者名: 佐々木貴之
  • 学会等名: 日本物理学会 第69回年次大会
  • 発表場所: 東海大学