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2012 年度 実施状況報告書

中重核領域における短寿命中性子過剰核の磁気モーメントの測定

研究課題

研究課題/領域番号 23540336
研究機関東北大学

研究代表者

篠塚 勉  東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 准教授 (10134066)

研究分担者 涌井 崇志  東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 助教 (70359644)
キーワード不安定核 / 原子核構造 / 核モーメント / 質量分離 / イオンガイド法 / SPIG法
研究概要

短寿命の不安定核を迅速、高効率で取り出して質量分離するための装置としてRFイオンガイド型同位体質量分離装置を開発している。本研究では開発の最終段階として、これまでの研究により有効性を証明できたRFカーペットをガス停止容器全面に配置する。
これは、不安定核イオンが壁に付着して失われることを防ぐものである。それと同時に、イオン引出し部直後の差動排気部に、リニアトラップの原理を用いた六極のロッドによるRF線形トラップ(SPIG)を導入する。また、オフラインでこれらの装置のパラメータ探索や性能試験を実施する。以上により現有のイオンガイドの収量を10倍に増加することを目指している。
昨年度は、初年度に製作したSPIGの導入を進めた。現有のイオンガイドは30 kPaという高圧力領域から10 Paの真空領域へと移行する差動排気中間領域に、高電圧(1 kV)での引き出し系を用いていることから、イオン引出時に、ガス衝突による速度分散を起こし、結果として引出し効率、質量分解能、輸送効率の劣化を招いている。特に質量分解能は60程度であり、これにより輸送効率が30%程度となっている。そこで、高真空を保ちながら低電圧での高効率引出しを実現するために、ガスセルの出口とスキマー電極の間にSPIGを設置した。
SPIGを設置した状態で、ガスセル中へ導入するヘリウムガスにXeガスを少量混合し、質量数130前後のXeイオンを引出して質量分解能を測定した。その結果、質量分解能は300以上となり、SPIG導入前と比較して大幅に改善することに成功した。これにより、質量数が130前後の中重核にたいしても単一アイソバービームとして、ビームライン末端まで輸送することが可能となった。
また、震災復旧後のビームコースの試験を兼ねて、オンライン実験も実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

東日本大震災により、RFイオンガイド型同位体質量分離装置(RFIGISOL)が設置されている実験室の放射線遮蔽扉が損傷した。また、ビームラインも地震の揺れによりアライメントにずれが生じたため、2012年10月まで復旧工事が行われた。この間、実験装置やビームラインの一時的な移動・撤去や冷却水の停止などがあった。これに伴い、初年度の研究計画に遅れが生じた。そのため、研究計画を変更し、RFIGISOLを使用せずに実施可能な項目を前倒しするなどの工夫を行ったが、震災復旧工事が当初予定の2012年5月から10月へとずれ込んだ影響もあり、全体的に遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

昨年度までに、SPIGの導入と、それによる質量分解能の改善に成功している。しかし、Xeガスと比較して、収量の少ない不安定核については、ガスセルからの引出しと、ビームコース末端への輸送を確認できていない。これは、ガスセル中で不安定核イオンが熱化する際に、ガスセル内の不純物との衝突により、中性化や複合分子イオンを形成しているためと考えている。
平成25年度には、複合分子イオン形成の原因となっている不純物の除去や、複合分子イオンの積極的な分解などを試験する。不純物の除去としては、真空排気系の改善の他、ガスセル内に設置されたRFカーペットに用いている材質の再検討と改造を行う。それでもなお、複合分子イオンが有意に抑えられない場合も考えられる。これまでの研究から、ガスセル出口とSPIGとの間の電位により、複合分子イオンの分解が可能であることが知られている。そこで、複合分子イオンを分解しつつ、放電せず安定して印加可能な電位を探索する。
これらの対策の効果をオフラインで確認した後に、オンライン実験を実施し、不安定核の収量を確認する。そしてさらに、核モーメントの測定へと進めていく。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、主として、上記の不純物対策に研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Development of a resonant laser ionization gas cell for high-energy, short-lived nuclei2013

    • 著者名/発表者名
      T. Sonoda, T. Shinozuka, T. Wakui, 他21名
    • 雑誌名

      Nucl. Instrum. And Methods B

      巻: 295 ページ: 1-10

    • DOI

      10.1016/j.nimb.2012.10.009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] hallow and diffuse spin-orbit potential for proton elastic scattering from neutron-rich helium isotopes at 71 MeV/nucleon2013

    • 著者名/発表者名
      S. Sakaguchi
    • 雑誌名

      Phys. Rev. C

      巻: 87 ページ: 021601

    • DOI

      10.1103/PhysRevC.87.021601

    • 査読あり
  • [学会発表] 偏極陽子標的を用いた陽子ノックアウト反応による14,22,24Oのスピン軌道分離の研究II2013

    • 著者名/発表者名
      川瀬頌一郎
    • 学会等名
      第68回日本物理学会年次大会
    • 発表場所
      広島大学東広島キャンパス
    • 年月日
      20130326-20130329
  • [学会発表] ペンタセン分子の光励起三重項状態の時間発展とその温度依存性2013

    • 著者名/発表者名
      河原朋美
    • 学会等名
      第68回日本物理学会年次大会
    • 発表場所
      広島大学東広島キャンパス
    • 年月日
      20130326-20130329
  • [学会発表] evelopment of a gas cell-based laser ion source for RIKEN PALIS2012

    • 著者名/発表者名
      T. Sonoda
    • 学会等名
      EMIS2012 (XVI International conference on electromagnetic isotope separators and techniques related to their applications)
    • 発表場所
      Matsue, Japan
    • 年月日
      20121202-20121207
  • [学会発表] Recent activities with RF-IGISOL at CYRIC2012

    • 著者名/発表者名
      K. Shimada
    • 学会等名
      EMIS2012 (XVI International conference on electromagnetic isotope separators and techniques related to their applications)
    • 発表場所
      Matsue, Japan
    • 年月日
      20121202-20121207
  • [学会発表] 偏極陽子標的を用いた陽子ノックアウト反応による14,22,24Oのスピン軌道分離の研究2012

    • 著者名/発表者名
      川瀬頌一郎
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      京都産業大学
    • 年月日
      20120911-20120914

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公開日: 2014-07-24  

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