研究課題/領域番号 |
23540341
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷垣 実 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (90314294)
|
キーワード | 摂動角相関 / 超微細場 |
研究概要 |
平成25年度は計画に基づきFe中のPmの超微細場測定を開始した。過去の低温核整列法による測定 や他の不純物元素でのTorumbaらの理論計算と実測値のズレの幅を勘案し、想定される超微細場の範囲を100~500 T程度と見積った。そして、最初に100 T程度で適用可能な時間微分形摂動角相関法による測定をおこなうこととした。 京大原子炉のオンライン質量分析器により生成したNd-147ビームをFe試料中に注入、Nd-147の崩壊に伴って生成する娘核Pm-147の91 keVについて、京大原子炉が保有する摂動角相関測定装置を利用して時間微分形摂動角相関法での超微細場測定を実施した。十分な統計精度を達成するためにこの注入→測定を数回繰り返す計画であった。しかし、年度途中より放射性核種使用許可施設の改修工事により、十分な統計精度を達成する前に摂動角相関測定装置と実験室の使用ができなくなったため、測定は中断している。 現時点までの統計精度では有意な摂動は観察されていないため、引き続きより高い磁場の範囲での探索を実施するべく、Pm-147の91 keV準位に対する時間積分型摂動角相関の適用検討をすすめた。この準位の寿命は2.5 nsと時間積分型適用には寿命がやや長いため、この準位を挟むカスケードγの時間制限による適用の可能性を検討してシミュレーション計算を進めている。また、時間制限の際に利用できると期待される高精度のタイミング測定技術のWhite RabbitやFPGAによる測定系構築のための技術情報収集のため、NI Week 2013に参加した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
25年度途中に、研究で使用する摂動角相関装置が設置され、また研究で使用する放射性物質の使用許可の降りている建物の整備事業が決定した。工期が26年度半ばまでとなり、その間施設への立入り自体が不可となっている。また、試料作成で必要な原子炉の方も、法令上の手続きの都合上一時運転休止となり25年度末に一時的に運用後、新たな法規制対応作業に入ることとなった。これらの事情により測定を開始していたFe中のPmの超微細場測定は一時中断している。東北大のRFイオンガイドの方もサイクロトロンのマシンタイムの都合上26年度秋以降の利用となる。施設や法規制対応が完了しだい研究を再開する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度は各施設が竣工、運転再開する予定となっており、それぞれ利用可能になり次第中断していた測定を順次再開する。利用可能開始になった後の本研究の期間内で可能な範囲の測定を行うが、測定中断中であるFe中のPmの超微細場測定については最優先で実施し統計精度の改善をめざす。同時に時間微分形摂動角相関で有意な摂動が見られなかった場合のための時間積分形摂動角相関法の測定系の開発をすすめる計画である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
25年度は計画に沿ってFe中のPmの超微細場測定を開始したが、本研究で使用する放射化した試料を使用する事のできる使用許可施設について、25年度の研究を開始した後に整備事業が決定した。この整備事業により26年度半ばまで施設の使用ができず、測定が実施できなくなった。その上試料作成には京大原子炉実験所の原子炉を利用する必要があるが、こちらも法令対応の作業や法令に基づく手続きのため運転が休止状態になったため。 研究計画自体には問題はなく順調に進んでいたため、許可施設や原子炉の利用が可能になり次第、25年度に実施するはずだった当初の計画の残りの部分を再開する。
|