25年度に引き続き26年度も施設や法規制の都合により測定に大きな制約が発生した。そのため、25年度に行った、鉄中Pm-147 91 keV準位の3カウンター法および4カウンター法の摂動角相関測定結果について詳細な解析を実施した。3カウンター法および4カウンター法による測定は独立であったため、それぞれについて内部磁場を導出したところ、お互いのエラー範囲では一致しなかったものの、Torumbaの予想の1/10のオーダーである20~50 Tとなった。このことは、予想の際の前提条件となっている格子置換位置とは異なる場所にPm-147が存在する可能性も示唆している。今後の再測定の際には鉄格子中のPm-147の位置を制御するために、注入時の試料温度を変えながらの測定、あるいは注入エネルギーを可変しながらの測定も検討する必要があることがわかった。 また、検出器系の見直しや改良を進めたが、時間微分型では検出器系の時間分解能の限界でTorumbaの予測する数百Tに対応する歳差運動の周期ではガンマ線非対称度が減少してしまう可能性が判明したため、再稼働時の測定での時間積分型の適用可能性を検討した。時間積分型は測定対象準位の寿命の間の回転角を測定するため、寿命並みの速い周期の歳差運動の観測に有効であるが、Pm-147 91 keV準位の場合はTorumbaらの予想する4~500 T程度まで測定可能と見積もられた。 さらに25年度の測定では統計精度不足も判明したため、より有利なガンマ線カスケードを調査した。その結果、25年度の測定で使用していた319-91 keVカスケードに比べガンマ線放出非対称度およびカスケードの強度がそれぞれ1.5倍になる440-91 keVカスケードが存在することがわかった。 本年度までの成果について、国際会議HFI/NQI 2014でポスター発表を行った。
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