6,7Liは典型的なαクラスター構造を持つ核であることが知られている。これまで6,7Li核について我々のグループは軽イオン反応(p、p’)、(3He,t)、および(7Li,7Be)反応を用いて6,7Li核内のαクラスター自身の双極子巨大共鳴(GDR)とスピン双極子共鳴(SDR)が存在することを示唆してきた。これをさらに確立するため、兵庫県立大学付属高度産業技術研究所での電子シンクロトロンNewSUBARUを用いて6Li(γ、n)反応を行い6Li核のGDRを励起エネルギー5MeVから55MeVの範囲で観測した。 6Li(γ、n)反応の結果GDRが約11MeVと33MeVとの2成分存在することが明らかになった。この結果で11MeVの成分は6Li核固有のGDRであり、33MeVの成分は核内αクラスターのGDRであることが、これまでの軽イオンの結果と比較して結論づけられた。 核内αクラスターのGDR励起が確立されたことから、自由な4He核でのGDRとαクラスターのGDRを比較することが可能となった。4He核のGDRは励起エネルギーが約26MeVと知られている。他方今回測定されたαクラスターのGDR励起エネルギーは約33MeVと約7MeV大きい。GDRの励起エネルギーはその存在する系の大きさに反比例することが知られている。したって今回の結果から核内αクラスターの大きさは4He核の大きさに比べ約20%小さくなっていると結論できた。このように核内媒質効果により粒子の大きさが自由なものに比べ、核媒質内で小さく去るという結論は極めて独創的な結果である。
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