研究課題/領域番号 |
23540352
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
光岡 真一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (40354881)
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研究分担者 |
千葉 敏 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60354883)
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キーワード | 原子核物理 / 核分裂 / 加速器 |
研究概要 |
高速系革新炉における核分裂特性計算に必要なマイナーアクチノイドの中性子核反応データを取得する新しい手法として、研究炉からの中性子ビームを用いた従来法ではなく、加速器からの重イオンビームを用いた「代理反応法」が期待されている。本研究の目的は、この代理反応の成立性を検証する第一段階として、ウラン238と酸素18の多核子移行反応で生成される原子核が中性子照射で生成される原子核と同じ複合核を形成しているかどうかを調べることである。そこで、非常にエミッタンスのよい酸素ビームを供給できる原子力機構タンデムブースター加速器施設において核燃料物質であるウランを照射し、核子移行反応により有限角度に放出された粒子を、設定角度が40度まで可変の反跳核質量分離装置(質量分解能約300)を用いて分離し、シリコン半導体検出器を用いて測定する。当該年度は当初の予定通り、一度に多くの粒子を位置毎に検出できる他チャンネルのシリコン半導体検出器および電荷型プリアンプの整備を行った。また、一昨年度末に発生した東日本大震災によりタンデムブースター加速器施設全体が被災し、反跳生成核分離装置も角度を振る回転駆動機構ならびに高真空機構にダメージを負ったが、震災復旧修理を行いおおむね順調に稼働する目処が立った。また理論計算では、核分裂を記述するランジュバン計算をパラレル化により高速化し、低励起状態からの核分裂計算を可能にした。それを用いて234U(233U+n)、236U(235U+n系)からの核分裂生成物の質量数分布を計算した結果、二中心殻模型のεパラメータを0.35にすると非対称分布を良く再現できることがわかった。また摩擦係数に対する依存性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災により加速器施設全体が被災したが、本実験で用いる反跳生成核分離装置の修理や検出器の整備を行い、おおむね順調に稼働する目処が立った。
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今後の研究の推進方策 |
反跳生成核分離装置の修理後に本実験するにあたり、実際のビームを用いた調整実験を平成25年度初めに行い、電気代節約等により夏場は加速器の運転がないため、秋以降早急に本実験を行う。また、ランジュバン計算による核分裂の理論的な考察を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
検出器周りのコネクター等の消耗品を購入して本実験を行う。
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