研究課題/領域番号 |
23540354
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
中村 誠一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器科学支援センター, シニアフェロー (70391729)
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研究分担者 |
幅 淳二 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (60180923)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | REGEM / PEDOT/PSS / メラミン樹脂 / 微細加工 / ウェットエッチング / 密着性 / 銀ナノ粒子 / エキシマレーザ加工 |
研究実績の概要 |
GEMの放電問題の解決に高抵抗値素材を電極に利用する.チオフェン系導電性高分子PEDOT/PSSをメラミン樹脂で固めた薄膜をポリイミド基板上に成膜することに成功した(以下,これをPEDOTフィルムと呼ぶ).通常のプリント回路製作に用いられるウェットエッチング技法をPEDOTフィルムに適応したが,樹脂製のエッチングマスクはPEDOTフィルムに対しては密着性が不足であった.そこで,探索の結果,銀ナノ粒子焼結膜に辿り着いた.PEDOTフィルムに熱緩衝膜を挟んでの銀ナノコーティング膜を,150℃×2時間で焼結した(150℃という温度は,導電性高分子薄膜が高温による劣化温度の上限温度である.また,150℃という低温で焼結するナノ粒子は銀ナノ粒子のみである).焼結膜は,碁盤目剥離テストで95/100程度以上の剥離強度を示した.これにより,ウェットエッチングによるREGEMの可能性を得た. 一方で,PEDOT/PSSが高抵抗値素材としての適性かを試した.YAGレーザの第3高調波(波長355nm)で片面銅張PEDOT薄膜基板に10㎜角のREGEMを微細加工した.加工には精度や熱歪などの課題はあったが,実際に稼働でき基本的な動作は確認した.これは導電性高分子を用いたREGEMとして世界初と思われる. レーザ微細加工においての課題は熱影響である.模索した結果,KrFエキシマレーザ(波長248nm)による加工が最も現実的である.特に,マスクイメージ法による加工は,両面PEDOT薄膜フィルムへの加工ができ,多数のGEM細孔を一度に開けることもできる.実際に,第1回目加工性テストでは基材のポリイミドに対しては熱歪や変形は見られなかった.しかし,入射側PEDOT薄膜に対しては,2μm厚の熱緩衝層を設けていたが,デブリによる焼き付きがあった.熱緩衝層の改善により,デブリ問題は回避できると踏んでいる.
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