研究課題/領域番号 |
23540357
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
里 嘉典 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30342603)
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キーワード | ビーム強度モニタ |
研究概要 |
平成23年度に大阪大学核物理研究センター(RCNP)で実施したテスト実験のデータをとりまとめ、平成24年8月に大阪大学豊中キャンパスで開催された日本加速器学会のポスターセッションで発表した。次に、RCNPに置いてあった残留ガスビーム電流モニタ本体及びその他の物品を、KEK東海キャンパスのハドロン実験施設に移送した。残留ガスビーム電流モニタ本体をハドロン実験施設のスイッチヤードビームライン内に設置し、J-PARC加速器からの30GeV陽子ビームを使って試験できる準備を整えた。ビームモニタの電荷信号は、高精度エレクトロメータ(Keithlay 6514)を用いて積分し、データを取得する。J-PARC加速器は6秒周期で運転されており、そのうち約2秒間連続ビームが取り出される。ビームON時とビームOFF時の時間帯で電荷を積分し、ビームON時の値からビームOFF時の値を差し引き、バックグラウンドの影響をキャンセルした。また、ビームに同期したタイミング信号に従ってエレクトロメータを制御し、データを加速器制御ソフトウェアEPICS(Experimental Physics and Industrial Control System)上で記録できるようにデータ収集システムを構築する必要がある。これらの制御は、横河電機製のPLC(Programmable Logic Controller)と、リアルタイムLinux-CPUコントローラを用いて構築された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大阪大学核物理研究センターにおいて、1μAまでの大強度ビームでビーム試験を行い、基本的な動作確認が完了した。現在実際の30GeV陽子ビームでのビーム試験の準備が整っており、今後十分にデータを収集することで当初の目的を達成できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
4月から6月のビーム運転において十分にデータを蓄積し、ビーム強度モニタとしての長期安定性を確認する。8月以降の加速器運転停止時に、ビームダクト内の真空度を精度よく測定するための真空ゲージ(キャパシタンスマノメータ)を放射線の影響を受けないようにトンネル内に設置し、既存のピラニゲージとの比較を行う。ビーム運転時に真空度の変動による補正を行い、ビーム強度モニタとしての精度・安定性を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が発生した事由として、大阪大学核物理研究センターからJ-PARC施設への搬送費用が当初の予定よりも少なくて済んだためである。次年度の計画としては、真空度を高精度に測定できるキャパシタンスマノメータをビームライントンネルに設置し、トンネル内の放射線の影響で故障しないように十分な量の遮蔽体で囲む、もしくはビームダクトから可能な限り離すことで、キャパシタンスマノメータを動作させ、真空度の変動によるビーム強度測定値の変動をキャンセルすることを試みる。
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