最終年度においては、残留ガスビーム強度モニタをJ-PARCハドロン実験施設の1次陽子ビームラインに設置した。残留ガスビームモニタで収集された電子の電荷量を高精度で測定するため、高感度のエレクトロメータを使用した。また、収集されたデータはEPICS(Experimental Physics and Industrial Control System: 加速器関係で汎用的に使用されているデータ収集システム)で表示・記録できるように整備を行った。30GeVの陽子ビームに対して最大24 kW相当のビーム強度(1回のビーム取り取り出しにつき 3×10^13 個)で実際の陽子ビーム強度を測定した。残留ガスの真空度がほぼ一定(0.2 Pa以下)の条件では、残留ガスビーム強度モニタの相対的な変動は10%以下であり、相対的なビーム強度モニタとしては、十分実用性がある性能があることが確認できた。最終年度は残念ながらビーム運転時間が非常に限られていたため、十分な量のデータを蓄積することができなかったが、残留ガスを用いたビーム強度モニタが十分実用性があることが確かめられた。 研究期間全体を通して、残留ガスビーム強度モニタの大強度ビームに対する精度、直線製、及び安定性についての性能が大阪大学核物理研究センターでの3.5μAビームやJ-PARCの30GeV-24kWビームに対して確認することができ、DC的なビームにおいて有効な残留ガスビーム強度モニタが実用化できた。
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