研究実績の概要 |
本計画の大きな目標であるAu/ステップ状TiO2系における光第二高調波発生の計測に成功した。まず試料としてはTiO2(320)面をフッ酸処理と800度Cの大気アニール1時間を3回繰り返し、[001]方向に平行なステップの成長をAFMで確認できた。次にこの試料の上にAuを2nm室温蒸着した。この界面においては原子レベルのステップが同じ方向を向いて整列しており、その上にAuの膜が一様に乗っているので、スッテプ/Au界面がナノワイヤ列状になっている。このようにして製作したAu/TiO2試料のSHG光強度を基本波波長1064nmで、入射/出射偏光として、p/p,p/s,s/p,s/sの4つの偏光組み合わせにおいて観測した。SHGはp/pおよびs/pの偏光組み合わせで強く、他の2つの組み合わせではノイズレベルであった。またAuの乗っていないbareのTiO2(320)のSHGは非常に弱く、また異方性もはっきりしなかった。SHG強度の試料回転角依存性は、基板の結晶軸の傾きを反映しており、このことからSHG応答は、TiO2界面のステップとAuとの界面から出てくることが明らかとなった。 本計画のもう1つの目標である、水素終端したミスカットSi(111)面の光和周波発生の観測においても有意義な結果を得た。偏光配置pppおよびssp(それぞれSFG,入射可視,入射赤外)の偏光配置において、2083cm-1のテラスモードと2093cm-1のステップモードのピークが観測された。この結果は化学的方法で得たMorinらの過去の報告例と異なっており、表面の不完全性の違いによりステップ吸着水素の振動のスペクトルが違うことがわかった。
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