強相関系における実時間電子動力学の観測を可能にする新しい時間分解電子分光法であるアト秒電子分光(attosecond electron spectroscopy)の理論研究を行った。アト秒電子分光法では最先端のレーザ技術の産物であるアト秒パルスレーザを使って原子、分子、または固体からの光電子を実時間で追跡し、そのシステム内の電子相関の理解をアト秒時間という新しい観点または領域で広げる。この新しいアト秒科学は、アカデミックな面では量子力学・量子光学の究極的理解の追求し、応用の面ではアト秒の時間スケールで制御できる新しい電子工学の道来を告げる。 我々が実際実行した研究課題としては、平成24年度に二ハロゲン化銅(dopper dihalide)でおける光電子とオーゼ電子のアト秒ファノ・レゾナンスを研究して、アト秒時間スケールでの二電子間フェーズ相関を理論的に理解しようとした。特に、オフ・レゾナンスのサイドバンドが発見され、このサイドバンドは普通のファノ・レゾナンスから観測されるフェーズコヒレンスとは反対のフェーズコヒレンスを示すのを分かった。これは非常に興味深い発見であり、二電子間の量子フェーズを制御しながら放出させることができるということだ。 一部、終了した平成23年度の研究課題としては、二ハロゲン化銅の光電子放出タイミングへの電子相関効果についての理論研究で、電子相関に関する新しい視点とまだ行ってない実験に大きな刺激を与えた。研究の結果、二ハロゲン化銅の光電子分光でサテライトがメインピークより遅く放出されるのが分かった。特に、サテライトとメインの間の放出時間差は電子相関の大きさに決定的に関係することが分かった。
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