研究概要 |
大規模計算の基礎として、数理的研究をおこない(論文リスト1、2)、さらにモデル化(TB型)ハミルトニアンを、(1)有機EL型アモルファス状π共役高分子系poly-(9,9 dioctil flourene)(以下ポリフルオレン)、(2) 多層型ヘリカル金ナノワイヤ形成、の2つの物質を例として研究した。これらは主に、下記論文に報告されている:T. Hoshi, S. Yamamoto, T. Fujiwara, T. Sogabe, S.-L. Zhang, An order-N electronic structure theory with generalized eigenvalue equations and its application to a ten-million-atom system, J. Phys.: Condens. Matter, in press; Preprint (arXiv:1202.0098)。以下詳細を述べる:(1)ポリフルオレン系では、ASED型TBモデルで小規模分子系を計算し、第一原理計算との結果比較を行い、十分な定量的一致を得た。第一原理計算としては、Gaussian 09におけるB3LYP/6-311G(d,p)法を用いて計算した。発光特性にとって重要であるHOMO, LUMO波動関数は、ベンゼン環部分に局在しており、特徴的ノード構造をもっており、これらはモデル化計算でもよく一致している。アモルファス状構造の特徴としては、高分子鎖のツイストからくる、局在したπ電子系がHOMO, LUMO状態となった。これらは、発光特性を議論するさいの基礎となる。大規模計算としては、1000万原子系での計算が、独自オーダーN法によって達成された。(2)多層型ヘリカル金ナノワイヤ形成については、金属系での適用が可能であることが示された。
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