電子系のトポロジカルな物理を光の系に移植し、新たな光輸送特性を実現するのが本研究の目的である。 最終年度では以下のことを明らかにした。これにより計画立案当時に予定していた、光版のトポロジカル絶縁体を理論的に実現し、目的を達成した。 1) 研究期間中に光版トポロジカル絶縁体の提案が他グループによりなされ、遅れをとっていたが、電磁双対性による創発的なフェルミオニック時間反転対称性という概念を鍵として、通常のボゾニックな時間反転対称性は破れるが、へリカルなエッジ状態をもつ光トポロジカル絶縁体という新しいスキームを提案した。またその性質をKKR法による電磁場の第一原理計算と、kp摂動による有効ハミルトニアンの双方から調べ、コンシステントになることを確かめた。特に Dirac点の縮退が光スピン軌道相互作用(Tellegen型電気磁気光学効果)によってとける場合、有効ハミルトニアンは Kane-Mele の有効ハミルトニアンに一致する。仮に電磁双対性が破れても、有効ハミルトニアンの範囲で擬似的なフェルミオニック時間反転対称性が生じ、それがドメイン壁局在状態をギャップレスにすることも明らかにした。また創発的なフェルミオニック時間反転対称性が得られる系として、2種のマルチフェロイクス物質や圧電性、圧磁性物質の積層構造を提案した。 2) 表面マグノンポラリトンを用いた、古くから知られている非相反的エッジ光伝導について、フォトニック結晶構造を用いてそのバンド幅を拡大するスキームを提案した。
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