研究課題/領域番号 |
23540383
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
平野 馨一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (40218798)
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研究分担者 |
杉山 弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (80222058)
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キーワード | 偏光 / 検光子 / X線 / 多波回折 |
研究概要 |
初年度に作製した偏光解析装置を用いて、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設のビームラインBL-14Bで偏光解析実験を行った。 まず、検光子としてInGaの単結晶ウェハーを用いて実験を行い、ダイヤモンドの移相子で入射X線の偏光状態を変えながら、実験を行った。得られたデータを解析したところ、右回り円偏光、左回り円偏光、水平偏光、垂直偏光を明確に識別することに成功した。この成果は国際会議SRI2012でポスター発表した他、プロシーディングス(査読有り)にも出版した(“Characterization of an x-ray diamond phase plate by a polarization analyzer using multiple diffraction”K. Hirano, Y. Ito, Y. Shinohara and Y. Amemiya: J. Phys.: Conference Series 425 (2013) 052030.)。 次に、InSb結晶について計算シミュレーションを行ったところ、GaAs結晶よりも優れた検光子特性を有することがわかった。この計算結果を受けて、InSbウェハーを入手して、その評価実験を行った。現在、得られた実験データを解析中であり、結果がまとまり次第、学会発表や論文発表を行う予定である。 また、測定を自動化するためのプログラムやデータ解析用のプログラム等の開発及び改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に作製した実験装置が、ほぼ設計通りの性能を発揮してくれたおかげで、放射光X線を使った実験をスムーズに行うことができた。また、得られた成果を国際会議SRI2012でポスター発表し、プロシーディングス(査読有り)にも論文が掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、X線検光子の基礎評価を継続すると共に、応用に向けて4軸回折計に検光子を搭載するための機材の設計や製作などを進める。 また、InSb結晶の性能評価実験で得られたデータの解析を進め、結果がまとまり次第、学会発表や論文発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
第一に、検光子に使用するための各種結晶を用意する。第二に、偏光解析器を4軸回折計の2θアームに搭載するために必要な機材を揃える。第三に、学会発表のための旅費や論文発表のための英文校閲料や投稿料などに使用する。 なお、次年度使用額が発生した理由は主に、昨年12月に発注したInSbウェハーが製造中止になって入手不可能になったことである。そこで、今後、新たな業者を探してInSbウェハーを入手する予定である。
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