初年度に作製した偏光解析装置を用いて、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設のビームラインBL-14Bで偏光解析実験を行った。 まず、InSb結晶の検光子としての性能を評価するために、入射X線が右回り円偏光、左回り円偏光、水平偏光、垂直偏光のそれぞれの場合について、約七通りの副反射面指数で測定を行った。得られたデータを解析した結果、InSb結晶は従来のGaAs結晶とほぼ同等の性能を持つことが新たに確認されたほか、GaAs結晶より低エネルギー領域で優位性を持つことが確認された。現在、この成果を論文として出版するための準備をしているところである。 次に、多波回折X線検光子の応用として、斜入射多波回折条件下における偏光トポグラフィー法を開発した。この方法を用いて4H-SiCエピタキシャルウェファの評価を行ったところ、入射X線の偏光を切り替えることで結晶に対するX線の侵入長を制御できることが確認された。この成果は Nucl. Instrum and Methods in Phys. Res. A 729 (2013) 537-540. に “Application of x-ray phase plate to grazing incidence x-ray topography for the control of penetration depth” という論文として公表した。 また、測定を自動化するためのプログラムやデータ解析用のプログラム等の開発及び改良を行った。
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