研究課題/領域番号 |
23540386
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山本 良之 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70322120)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 磁性 / ナノ材料 / 物性実験 / 表面・界面物性 / 金属物性 |
研究概要 |
本研究では金-磁性ヘテロ構造ナノ粒子表面の金原子に配位する有機分子配位子によって引き起こされるナノ粒子の磁気特性変化、特に磁気異方性について系統的に調べて制御法を確立する他,高周波磁場による金-磁性ヘテロ構造ナノ粒子の加熱実験を行い、磁気異方性や飽和磁化に依存する比吸収率を高くするための最適条件を見出して、磁気ハイパーサーミア用発熱担体としてのナノ粒子の応用展開をはかることの2点を目的としている。平成23年度では磁性ナノ粒子と原子1層程度の金とのヘテロ界面をもつ、コアシェル型ナノ粒子の合成を行ってその磁気特性評価を行うことに加え、磁気光学効果を用いたナノ粒子の磁気異方性評価実験装置の開発を行い以下の結果を得た。1) コア粒径約5 nmのFe3O4ナノ粒子と、これをシェル厚約1 nmの金で覆ったFe3O4/Auコアシェル型ナノ粒子を合成し、配位子としてオレイルアミンを使用して表面修飾を行った。X線回折と透過型電子顕微鏡によって目的の試料が得られたことを確認した後、交流帯磁率測定によってFe3O4ナノ粒子とFe3O4/Auコアシェル型ナノ粒子の磁気特性を調べた。その結果,Fe3O4ナノ粒子に比べてFe3O4/Auコアシェル型ナノ粒子で保磁力の増大と交流帯磁率の実部のピーク温度に上昇が観測されたが,交流帯磁率の虚部のピーク温度には違いは見られず、2つの試料間で本質的な磁気異方性の変化が生じていないことが示唆された。2) 本補助金を用いて、磁場変調と磁気光学効果を用いた複素交流帯磁率測定を原理とする磁気異方性評価実験装置を製作した。Coフェライトナノ粒子の複素交流帯磁率を測定し、磁気異方性に依存するネール緩和スペクトルが測定できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した「研究の目的」と平成23年度の研究計画どおり研究を実行できており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度からはコアシェル型のヘテロ構造ナノ粒子だけでなく、ダンベル型など様々な金ー磁性ヘテロ界面をもつナノ粒子を合成し、今年度製作した実験装置を用いて磁気異方性の評価を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
装置開発に導入した備品の購入は今年度で終了したため、次年度以降は主として試料合成用試薬等の消耗品を購入するために研究費を使用する予定である。
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