研究課題/領域番号 |
23540386
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山本 良之 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70322120)
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キーワード | 磁性 / ナノ材料 / 物性実験 / 表面・界面物性 / 金属物性 |
研究概要 |
本研究では金-磁性ヘテロ構造ナノ粒子表面の金原子に配位する有機分子配位子によって引き起こされるナノ粒子の磁気特性変化について系統的に調べて制御法を確立する他,高周波磁場による金-磁性ヘテロ構造ナノ粒子の加熱実験を行い,磁気ハイパーサーミア用発熱担体としてのナノ粒子の応用展開をはかることの2点を目的としている。平成24年度では,オレイルアミンで修飾した平均粒径17.5 nmのFe3O4ナノ粒子と,平均粒径6.2 nmのナノ粒子を接合し,金-磁性ヘテロ界面をもつAu-Fe3O4ダンベル型ナノ粒子の合成を行った。この試料を用いて交流磁場による発熱実験を行った結果,発熱能力の指標となるSARの実験値はFe3O4ナノ粒子の粒径を磁気的直径とした理論値に比べて著しく小さいことが分かった。試料の磁化曲線に対して粒径分布関数を考慮して解析したところ,TEMで観測されたFe3O4ナノ粒子の粒径17.5 nmよりも小さな平均粒径(12.4 nm)と,大きな分布幅をもつとして計算したものとよく一致することが分かった。また,磁化曲線から導かれた実効的な磁気的直径を用いて計算したSAR値は実験値に近い値となった。この現象は粒径を変化させて合成したFe3O4単体のナノ粒子についても見られ,これらはFe3O4ナノ粒子表面もしくは金ナノ粒子との接合界面のひずみに起因したスピンディスオーダーによってバルクに比べて磁気モーメントが減少することによるものであることが示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した「研究の目的」と平成24年度の研究計画どおり研究を実行できており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も金ー磁性ヘテロ界面をもつダンベル型ナノ粒子を合成し、金表面の修飾分子を変化させた実験を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
装置開発に導入した備品の購入は23年度で終了したため、次年度以降は主として試料合成用試薬等の消耗品を購入するために研究費を使用する予定である。
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