研究課題/領域番号 |
23540386
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山本 良之 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70322120)
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キーワード | 磁性 / ナノ材料 / 物性実験 / 表面・界面物性 / 金属物性 |
研究概要 |
本研究では金-磁性ヘテロ構造ナノ粒子表面の金原子に配位する有機分子配位子によって引き起こされるナノ粒子の磁気特性変化について系統的に調べて制御法を確立する他,高周波磁場による金-磁性ヘテロ構造ナノ粒子の加熱実験を行い,磁気ハイパーサーミア用発熱担体としてのナノ粒子の応用展開をはかることの2点を目的としている。平成25年度では,オレイン酸で修飾したFe3O4ナノ粒子と,金ナノ粒子を接合し,金-磁性ヘテロ界面をもつAu-Fe3O4ダンベル型ナノ粒子に加えて,複数の金-磁性ヘテロ界面をもつAu-Fe3O4フラワー型ナノ粒子の合成を行った。この試料を用いて交流磁場による発熱実験を行った結果,発熱能力の指標となるSARの実験値はダンベル型ナノ粒子に比べてフラワー型ナノ粒子の方が著しく小さくなった。これはFe3O4ナノ粒子と金ナノ粒子との接合界面のひずみに起因したスピンディスオーダーによって,バルクに比べてFe3O4ナノ粒子の磁気モーメントが減少することによるものであると考えられる。また,ナノ粒子そのものを変えずにFe3O4ナノ粒子表面を修飾するオレイルアミンを,チオール基を含む低分子配位子であるDimercapt succinic acid(DMSA)に配位子置換したものと,Pluronic F127高分子で置換した試料を合成した。これらの試料を用いて交流磁場による発熱実験を行った結果,オレイン酸で修飾した粒子の実験値に比べDMSAで修飾した粒子のSARが2倍程度増大した。一方,F127高分子修飾粒子のSARはオレイン酸修飾粒子に比べて減少した。これらの結果は,粒子表面の修飾分子がナノ粒子の磁気特性に影響を及ぼしていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請書に記載した「研究目的」と「研究計画」はおおむね実行できているが、論文発表が遅れているためやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度であり、研究の推進はもちろんだが成果発表に力点を置く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費等を校費でまかなった他,物品費の値引きで生じたため。 次年度の物品費と合わせて使用する予定。
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