研究課題/領域番号 |
23540387
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
青木 優 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (50302823)
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キーワード | 準安定励起原子 / スピン偏極 / 電子分光 / 表面磁性 |
研究概要 |
本研究の目的は,所属研究室で開発した世界的に最高輝度を持ったHe*(1s2s,トリプレット)準安定原子源にスピン偏極機能を付加し,電子分光測定に応用することにある.第一にスピン選別用の6極磁場レンズを設計製作することでスピン偏極し (例えば↑↑;M(S) = +1),かつ超高輝度な He*トリプレット原子源を開発する.そしてこの原子源を利用して,高エネルギー分解能な「スピン偏極準安定原子電子分光」として機能させる.第二に,無機,有機にとらわれず,幅広い表面系にこの電子分光法を適用し,特にフェルミ準位近傍の価電子におけるスピン状態を調べる.表面系における磁性を探る一手段としてこの測定手法を確立し,新しい物性を見出すことが本研究の最終目標になる. 準安定原子源の調整,新方式の原子原設計を行った.これに伴い,スピンポーラライザーの設計方針を変更した. 固体電子分光装置を用いて金属基板上にアルカリ金属(K, Cs)-有機分子(バソクプロイン,ジベンゾペンタセン)混合系薄膜の準安定原子電子スペクトル測定を行った.フェルミ準位近傍に新しい価電子状態が出現することを見出した.これは,スピン偏極した準安定原子電子スペクトルの比較対象となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スピンポーラライザーを永久磁石から電磁石に変更する.これは,異なる準安定励起原子速度に対応するためである.また,固体電子分光装置に取り付けるための取り付けフランジを新たに作製する必要が出た.以上の理由によって当初計画よりやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる本年度はスピン偏極準安定原子源の完成,性能評価,固体表面への応用を並行して行う.そして,得られた成果を学会発表及び論文投稿によって報告する.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品は真空部品,電子部品,液体窒素,金属単結晶基板となる.旅費は研究成果の発表に用いる.研究成果費用は論文投稿料,別刷り費用である.
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