研究課題
我々は異方的S=1/2梯子で桁相互作用が強磁性的-反強磁性的と交代する系の問題に取り組み,この系が非常に豊かな物理を持っていることを見いだした.基底状態相図には種々の相が現れ,特に異方性がXY的であるときにネール相が現れ,イジング的であるときにハルデン相が現れる,という通常の状況と逆の状況を発見した.この「異方性逆転現象」はS=1/2の単一スピン鎖では代表者の岡本が発見していたが,S=1系に近い要素のあるS=1/2梯子系では初めての例である.また,この系では桁相互作用が交代するため1次元方向のボンド反転対称性が成り立たず,従来のレベルスペクトロスコピ手法がそのままでは使えない.我々はサイト反転とスピン回転を組み合わせることにより,このような場合のレベルスペクトロスコピー手法を確立した.これにより,従来より広い範囲の問題に対してレベルスペクトロスコピーが使えることとなった.この拡張はいわゆる対称性によって守られた相の判定問題とも密接な関係を持っている.また,分担者の中野が中心となってレベルスペクトロスコピー法に必須であるハミルトニアンの数値的対角化を大規模化することもおこなった.この成果をフラストレーションのある2次元反強磁性量子スピン系である三角格子,籠目格子,手裏剣格子などに応用し新しい知見を得た.本課題の総仕上げとして,レベルスペクトロスコピー開発者の岡本と野村が中心となって,レベルスペクトロスコピーの詳細レビューを執筆中である.3年間の本研究を総括すると,査読付き論文43本,学会等講演98回(内招待講演7回)を数え,当初の予定以上の成果を上げることができたと考えている.
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (30件) (うち招待講演 2件)
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