研究概要 |
昨年度に引き続き,HoRh2Si2単結晶の各種物性測定を行った。また,より純良な単結晶の育成も試みている。得られた単結晶を用いて以下の測定を行った; 1)弾性定数測定の磁場依存(新潟大学後藤研究室との共同研究);非常に強い磁気異方性が確認された。この化合物は複雑な磁気相図持つことがわかった。さらに,高磁場,40 T付近にも磁気転移があることが示唆された。 2)強磁場磁化過程;上記の示唆をうけ,強磁場磁化測定で転移を調べた。その結果,各方向に30~40 Tで磁気転移の存在を確認した。これらの結果を総合して,より完全なB-T磁気相図を作った。 3)磁気構造の決定(日米協力中性子散乱事業による);中性子回折実験をオークリッジ国立研究所行った。そして,各相における磁気構造を決定した;III相(T<TN2): 波数ベクトルk=(0,0,1), Mはc軸から約30°傾いている,II相(TN2<T<Tt):k=(0,0,1), M//c, I相(Tt<T<TN1):k=(1/2,1/2,1/2),M//c,この結果は,成分分離磁気転移と矛盾しない 4)中性子磁気散漫散乱;磁気散漫散乱をTN2以上の温度で観測した。この結果は,II相が部分成分秩序相であることを示している。 5)磁化の角度依存;低温で磁気モーメントが傾いているのを確かめるために磁化のc軸からの傾き角依存を調べた。結果は現在解析中であるが,傾き角を決定できる予定である。 疑三元系化合物の単結晶育成とその物性測定 1)(Ho1-xYx)Rh2Si2 (x=0.05)単結晶の育成を行った。その結晶を用いて,磁気的な測定を行い,転移温度および各温度における磁化課程を調べた。 2) (Ho1-xGdx)Rh2Si2(x=0.05)単結晶の育成を行ったが,まだ,純良な単結晶を得ていない。今後さらに純良単結晶の育成を行う。
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