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最終年度の研究成果は以下の通りである。
1) ワイル半金属状態におけるトポロジカル欠陥に起因するカイラル磁気効果...ワイルフェルミ粒子型のバンドを有するワイル半金属では、そのバンド構造は非自明なBerry曲率を伴うために種々の異常な輸送現象が現れることが、これまで理論的に予言され、その一部が実験的に確認されている。中でも平衡電流が誘起されるカイラル磁気効果は、場の理論モデルでは予言されながらも、現実的な固体電子系では実現しないことがこれまで指摘されていた。この問題に対して、我々は、転位などの格子欠陥が存在する場合を詳細に調べ、線状欠陥において局在した準粒子モードが平衡電流を運ぶtorsionalカイラル磁気効果が発現することを理論的に発見し、この効果が現実的な固体電子系においても存在することを確認した。これはワイル半金属の特異な輸送特性を特徴付ける重要な効果であり、今後の実験探索に指針を与える成果である。
2) カイラル磁性体-超伝導体接合系におけるトポロジカル相とスキルミオンのダイナミクスの研究...トポロジカルな磁気テクスチャであるスキルミオンを実現するカイラル磁性体と超伝導との接合系において実現する様々なトポロジカル超伝導状態の可能性について理論的に調べた。時間反転対称性の破れた超伝導状態や、ワイル超伝導状態が実現することが明らかになった。さらに、この超伝導状態において、超伝導磁気電気効果(Edelstein効果)によって誘起されるスキルミオンのダイナミクスを調べ、スキルミオンの配置を無散逸に操作できることが示された。今後、超伝導スピントロニクスへの応用等につながる成果であると考えられる。
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