研究課題
ユーロピウムを中心とした金属間化合物の価数揺動、価数転移、価数秩序転移に注目して主に以下の研究(1)~(3)を行った。(1)前年度までにEuRh2Si2において圧力下において磁場誘起価数転移を示すことを明らかにし、その転移磁場が研究室レベルの超伝導磁石で発生可能なことを示してきた。本年度は磁気抵抗とメスバウワー効果によって磁場誘起価数転移の振舞を調べた。磁気抵抗は低磁場相と高磁場相でそれぞれ正及び負の磁気抵抗を示し、真逆の振舞を示すこと明らかにした。またメスバウワー効果においては初めて磁場誘起価数転移の観測に成功した。内部磁場などの興味深い微視的な情報が得られた。(2)EuTP系(T=Pt,Pd)は価数転移と価数秩序転移が同時に起こる興味深い物質群である。本年度はEuPtPの価数を圧力下で測定し、高圧下で新たな価数秩序相が出現している可能性を示した。また、EuPdPの単結晶育成に成功し、高圧下で新しい相転移を発見した。今後、新たな価数転移、価数秩序転移であるかどうかを検証していく予定である。(3)YbPdは立方晶CsCl型構造という単純な構造をとりながら4つの相転移(T1=125K, T2=105K, T3=1.9K, T4=0.5K)を示すが、T3が磁気転移であること以外、機構が分からなかった。われわれは前年度までの実験結果を考察し、T1以下で正方晶に歪んでおり、T2以下でc軸方向が2倍構造(a×a×2a構造)となって2種類のYbサイトが実現している可能性が高いことを明らかにした。更にX線非弾性散乱実験からフォノン分散測定を行い、X点近傍のブロードなソフト化から価数と格子の不安定性の相関について議論を行い、他のグループが指摘したT1~T2の間の非整合超格子反射の原因について明らかにした。
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