研究課題
正三角形及び二等辺三角形状に加工したアモルファス微小超伝導膜を用いて、閉じ込めた量子渦糸状態とその配列の安定性を、走査SQUID(超伝導量子干渉計)磁気顕微鏡による直接観察実験で調べた。印加する磁場の大きさを調整しながら誘起される渦糸の数とその配列を調べたところ、微小超伝導体の形状を反映した独特な渦糸構造が現われた。特に、渦糸数が3、6、10という三角数を満たすとき、超伝導体の形状とつり合う(3回の回転対称性で特徴づけられる)三角配列(三角格子の一部)を組んだ。二等辺三角形でも形状に従った変形は認められるものの、ほぼ同じような渦糸の三角配列が現われることから、幾何学的変形に対して安定な渦糸状態であることが分かった。一方、上記以外のほとんどの渦糸数(少なくとも11の渦糸数まで)では、幾何学的形状変化に対して、渦糸配列は不安定となり、同じ渦糸数でも異なる複数の渦糸配列が現われた。得られた渦糸配列を詳しく調べると、試料形状(正三角形状または二等辺三角形状)によらず、三角形がもつ一本の対称軸に対して鏡面となる対称性が現われ、渦糸の三角配列と一本鎖を組み合わせた分類法で整理できることも分かった。以上の結果から、三角形状の微小超伝導体では、つり合い条件が渦糸配列の(幾何学的変形に対する)安定性や対称性を決定づけることが分かった。今後の反渦糸状態に関する研究を進める上で貴重な基礎データになると期待される。
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Journal of the Physical Society of Japan
巻: 84 ページ: 043704(4pages)
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.84.043704
巻: 83 ページ: 083704(5pages)
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.83.083704