研究課題/領域番号 |
23540419
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
阿曽 尚文 琉球大学, 理学部, 准教授 (40313118)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 重い電子 / 超伝導 / 価数揺らぎ / 量子臨界点 / 低温物性 / 圧力下磁化 / 中性子 |
研究概要 |
理論により価数揺らぎが量子臨界点近傍で起こることが指摘されており、高圧下における重い電子系超伝導体の量子相転移と価数ゆらぎ効果を極低温下の物性測定及び中性子散乱により明らかにしていくことが本研究の目的であり,本年度はCeIrIn5の極低温圧力下電気抵抗測定と圧力下磁化測定による研究を進めた.I.CeIrIn5の圧力下電気抵抗測定 価数揺らぎにより,輸送現象における温度依存性のべきや残留抵抗値に何らかの異常がでるのではないかと考え,極低温度領域におけるいくつかの圧力下(8GPaまで)において,電気抵抗の温度依存性を測定した.残留抵抗値の圧力依存性には顕著な異常は観測されなかった.また,べき乗nは圧力に対して単調に増大していき,係数Aは圧力に対して単調に減少する結果となった.これらの結果により,現時点では価数揺らぎによる異常は観測されていないと考えている.また,電気抵抗の温度依存性に見られる近藤ピークは,8GPaまで単調に増大することが分かった.II.微小磁化測定用圧力セルの開発とCeIrIn5の磁化測定 Ce系の微小磁気モーメントの圧力下磁化測定はほとんど無いと言ってよい.そこで,MPMS磁化測定装置によりこれらが測定可能になるような圧力容器を試作し性能評価を行ったところ,有効磁気モーメントの圧力依存性の議論が可能になるような結果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1番の目的である琉球大学における極低温物性測定環境(希釈冷凍機)の構築がやや遅れいていると考えている.希釈冷凍機を設置するための工事の大学内予算の獲得に時間がかかり,年度の後半になったためである.また,本科研費で購入したピコボルトメーターも所謂科研費7割問題で,発注は当初の予定から遅れ,納品はさらに年度後半になってしまい,測定装置の開発が遅れ気味である.但し,上記理由のため,琉球大学での測定を後回しにし,東京大学物性研究所でのCeIrIn5の極低温圧力下電気抵抗測定を行い,結果を報告できた.また,圧力下磁化測定装置は順調に開発が進んでいると考えており,次年度以降の進展が期待される.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は以下の点について研究を重点的に進める.I.CeIrIn5の希釈冷凍機を用いた極低温・圧力下物性測定による価数揺らぎの検証 ヘリウム温度より高いところでの物性測定は出来ているので,より低温での測定を琉球大学で行うため,今年度は「極低温物性測定環境(希釈冷凍機)の構築」に全力で進めたい.また,継続して微小磁化測定用圧力セルの開発とCeIrIn5の極低温度領域における圧力下熱物性測定を行う。II.中性子回折によるCeRhIn5における反強磁性相と超伝導の相関 平成22年度までの我々のグループによるCeRhIn5の中性子回折測定の結果は、1.5GPaまでの磁気ブラッグ反射の観測に成功しており、過去の3グループの研究結果に比して、数10 倍の効率でシグナルを観測できている。さらに非整合磁気構造(Q1)が、超伝導転移温度以下では別の非整合磁気構造(Q2)に変化することを意味していて、申請者の知る限り、超伝導による影響で磁気構造が変化する例は他にはない。そこで、上記磁気構造の変化を明瞭にするために、1.3GPa~2GPa までの圧力範囲で同様な磁気ブラッグ反射のプロファイルを各圧力点で温度変化を調べて、この磁気構造の変化が磁気相に固有のものであるかどうか調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年度以降は50万円以上の備品を購入する予定は無く,希釈冷凍機温度における物性測定装置圧力容器の製作やその運転経費等,あるいは中性子散乱研究に必要な消耗品に使用する予定である.また,国内外における成果報告も予定している.
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